消費者から進化するプロシューマーとしての働き方
JNEWS会員配信日 2016/12/29
商品が売れない、テレビの視聴率が冴えない、不適切な発言をすると炎上する、いずれの現象も、ネットで様々な情報を入手したり、自由に意見交換もできるようになり、昔よりも消費者が賢くなったことが関係している。
自分が関心のある商品については、下手な店員よりも専門知識が深く、最適な価格相場を知っているため、売り手の広告には騙されない。また DIYによって製品をカスタマイズ、改良することも得意で、考案したノウハウはブログや SNSで公開、シェアされていく。
こうした消費者のことは「プロシューマー(prosumer)」と呼ばれている。プロシューマーの概念は、未来学者の故アルビン・トフラー氏が1980年に出版した著書「第三の波」の中で初めて示されたが、企業と個人の情報能力が対等になった今、現実的な形となって現れている。
勤めている会社の賃金が上がらなかったとしても、プロシューマーとしての知識やスキルを磨くことにより、実質的な買い物コストを下げることができるため、生活を豊かにすることが可能だ。さらに、そのスキルを収益化できるプラットフォームが次々と登場しているため、これからのプロシューマーは、容易に“自分のビジネス”を実行できるようになる。
具体例として、米国の手芸作家達で運営される「Ravelry」は、編み物の愛好者が集まるSNSで、世界から670万人もの会員登録がある。サイト内では、自分の作品を公開してユーザー同士の交流が行われているが、その中でも特筆すべきは、編み物の設計図といえる“パターン図”が多数公開されていることだ。
ユーザー同士がパターン図をシェアすることで、様々なデザインの服やアクセサリーを編むことができる。制作した作品は、個人で楽しむことの他に、ハンドメイド作品のマーケットプレイス「Etsy」に出品して収益化することができる。日本からでも、「メルカリ」などで出品販売する手芸作家が、新たなデザインのパターン図を求めて、Ravelryへの会員登録をするようになっている。
Ravelryでは、自分が考案した編み図を無料で公開するだけでなく、有料販売もできることがモチベーションになり、手芸雑誌を発行する出版社や、ニット製品のメーカーよりも、遙かに巨大なパターン図のデータベースへと成長している。このような消費者ネットワークは、手芸以外でも、多様な趣味のカテゴリー毎に形成されるようになり、企業の商圏を脅かすようになっている。
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