炎上が起きる特性を、コメント欄の分析から輪郭を掴む研究が進められている。記事を執筆したライターの性別や取り扱うテーマによっても、炎上しやすい特徴があり、それを事前に把握することで、炎上トラブルを未然に防ぐことができる。
コメント分析で判別する炎上ユーザーの特性と炎上対策

JNEWS会員配信日 2016/4/29

 企業がSNSを活用していく上で重要なのが、炎上の火付け役となりそうなユーザーの特徴を詳しく把握しておくことだ。それは、コメント欄に寄せられた投稿内容を分析することが役立つ。海外のニュースサイトでは、コメント分析の研究が進められている。

ニューヨークタイムズのオンライン記事にコメントを投稿したユーザーの属性を分析した研究によると、投稿者の7~8割が男性、2~3割が女性で、男性優位の偏りがある。ただし、少数派である女性の投稿者は、男性以上に影響力があることがわかってきた。

男性主体のフォーラム(サッカーの話題など)では、女性投稿者のほうが支持率が高くなる。逆に、結婚や育児問題など、女性主体のフォーラムでは、男性投稿者の支持率が高くなる。しかし、女性記者が書いた記事に対しては、女性読者のコメントが増える傾向がある。たとえば、女性記者が、避妊や性的暴力などをテーマにした記事を書くと、議論が白熱しやすく、それが炎上へと発展することもある。

もう一つの研究例として、英国ガーディアン紙では、自社のオンライン記事に対してコメントをよく投稿している人の中で、最も嫌がらせのレスポンスを受け取りやすいユーザー10人のプロフィールを調査した。その結果は、10人の中で8人が女性(4人が白人、4人が非白人、2人が黒人男性)であった。この10人中、同性愛者が女性2人と男性1人、イスラム教徒の女性1人、ユダヤ人の女性1人、という多様性もみられる。

同紙サイトの中で、人身攻撃などの理由でコメントをブロックした記事(全体の2%)は、やはり女性記者が執筆したものが多く、フェミニズム(男女同権論)や、性的な問題をテーマとした記事が荒れやすい。



これらの傾向は、ニュースサイトを分析したものだが、それ以外でも、ネットに投稿されたコメントを分析することで、炎上しやすい記事のテーマや、使うことを注意したほうが良いキーワード、攻撃的な投稿者の特徴などを把握することができる。また、フェイスブックなどのSNSと、自社サイトを連携させたコメント投稿欄やレビュー機能の仕様についても、炎上がしにくい設計に変更することは可能だ。

そこに向けては、SNS投稿のビッグデータ分析や、炎上しにくいユーザビリティのサイトを開発するビジネスが成り立つ。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。レポート本編では、企業向け炎上対策ツールの動向について解説しています。記事一覧 / JNEWSについて

JNEWS会員レポートの主な項目
 ●対応策で明暗が分かれる炎上後のダメージ
 ●炎上対策で生まれる新たな職業
 ●コメント分析で判別するユーザー特性と炎上対策
 ●企業向け口コミ分析ツールの開発
 ●若者世代で進むフェイスブック離れの兆候
 ●データを残さない新たなSNSによる交流スタイル
 ●多様化社会に適応するための企業対策と従業員トレーニング市場
 ●消費者とEC業者を詐欺から守るプロテクションサービス
 ●ソーシャルゲームに依存するユーザー特性と社会的報酬の魅力
 ●スマホとSNSで優良人材を発掘するモバイルリクルート市場
 ●エリートとリアリストに向けた階層別ブランド戦略の進め方

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 ・JNEWS LETTER 2016.4.29
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