新たな購買スタイルを生み出すプロシューマと企業との関わり方
共有経済の中では、優れた知恵やスキルを持った一部の消費者が、賢い生活のスタイルやシェアリングの方法を生みだし、そのノウハウを一般の消費者にも広めていくことになる。彼らのことは、生産者(プロデューサー)と消費者(コンシューマー)を組み合わせた、「プロシューマー(prosumer)」と呼ばれて、営利企業との新たな関係を築き始めている。
たとえば、メーカーの製品と同等のモノをDIYで自作できる方法を考案してネットで公開したり、マイカーを所有するよりもカーシェアリングを利用したほうが経済性に優れていることを実証する人。Airbnbを利用して旅行代を安く上げることや、逆に、空いているスペースを貸すことで収益化するような人達は、まさにプロシューマーと言える。
プロシューマーは、営利の企業が提供してきた、製品やサービスの非効率な部分や欠点を攻略して、無駄なお金を使わなくても生活レベルを向上させる知恵やアイデアに富んでいるため、巧みな広告やマーケティングで消費者を誘導してきた企業にとっては厄介な存在になる。
しかしその一方で、プロシューマーからの評価が高い商品は、彼らがオピニオンリーダーとして、その優れている点をブログや SNSなどで一般層にも拡散してくれるため、企業にとっては、プロシューマーを味方に付けられるような事業展開をしていくことが望ましい。それは、従来のビジネスモデルを変革することにまで波及する。
《プロシューマーが考える商品評価の視点》
- 商品の開発コンセプトや機能が優れていること。
- 商品の価格がリーズナブルに最適化されていること。
- 商品の持続可能性(サステナビリティ)が考慮されていること。
たとえば、紙の書籍は寿命が想像以上に長くて、20年、30年前の本でも普通に読むことができる。それを購入して1度読んだだけで眠らせてしまうのはもったいないから、次の読者へ譲ったりシェアするのは理にかなっている。図書館に該当の本あれば、買わずに借りて読むのも、消費者の行動としては正しい。
出版社はそれを否定するのではなく、書籍としての機能価値を高めていく必要がある。一例として、紙書籍の購入者(所有者)は、クラウド上にある電子書籍のデータにもアクセスできて、参考になるページの保存やキーワード検索ができると、蔵書としての価値を高めることができる。
電子書籍のみの購入では、端末を買い換えたり、購入元のプラットフォーム(アマゾンなど)を乗り換えてしまうと、蔵書のデータをすべて失うリスクがあるし、読みやすさの点でも紙には劣っているため、良書は紙とデジタルの両方で持ちたいというニーズは少なくない。
※海外ではKindleで購入した電子書籍をシェアるすユーザーが増えている。
■JNEWS会員レポートの主な項目
・非営利で増えるツールライブラリーの役割
・遊休資産を共有できるレンタルプラットフォーム
・個人が立ち上げる多様なシェアリングサービス
・プロシュマーが築く新たな経済圏と商品開発の方向性
・企業が共有経済で生き残るビジネスモデルの再構築
・リース契約によるアパレルの販売モデル
・バッテリーをレンタルする電気自動車の販売モデル
・ゼロから独自商品を生み出す製品開発と地域工房ネットワーク
・ギグ・エコノミーで形成されるオンデマンドワークの功罪と影響
・消費者のリピート購入を促す日用品ブランド構築とボックス開発
・シェアリング経済で豊かに暮らすネオシェアラーへの成長過程
・お金を使わずに豊かな生活を追求する新ライフスタイルの台頭
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2016.3.18
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■関連記事:消費者から進化するプロシューマーとしての働き方
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