JNEWS会員配信日 2014/8/29
自家製食品を物々交換するようなシェアリングは、食品を作っている者だけが参加の対象になっているが、それ以外でも、手作りの洋服と自家製食品を交換したい、家の修理をすることができるが、そのスキルと、他のモノやサービスとを交換できないか?といったニーズも生じてくる。
そのためには、異なるモノやサービスを円滑に交換するための「シェアリング通貨」を整備することも必要になってくる。具体的に普及しはじめているのが、異なる労力をシェアリングするために、「その仕事に費やした時間」を基準にした、タイムマネー(時間通貨)の仕組みである。
たとえば、「子どもに勉強を教える」ことと「庭の芝刈りをする」ことが、同じ1時間の労力ならば、お金のやり取りをせずに、相互でスキル交換しようとする発想。ただし、勉強を教えてもらいたい時と、芝刈りをしてもらいたい時は、タイミングが異なるために、自分が提供した労力の対価としてタイムマネーを貯めておくことができる仕組みで、タイムマネーを管理する団体は「タイムバンク」と呼ばれている。
将来の老後生活に不安を抱えている人達は、若くて健康な頃から、自分の得意なスキルを地域に提供することで、タイムマネーを貯めておき、高齢になった時にはタイムマネーで色々な仕事を地域の人達に依頼することができる。
また、高齢者になっても得意なスキルはあり、それをタイムマネーによって他のサービスと交換することも可能だ。裁縫が得意な高齢者は、破れた服の修理をすることでタイムマネーを貯めておき、冬に自宅の屋根に雪が積もった時に、そのタイムマネーで雪かき依頼すれば、地域内で対等な労力の交換になる。
米国や英国では、ローカルなタイムマネーバンクが多数立ち上がっており、お金を介さずに、地域住民の労力をシェアリングすることで、生活を充実させていこうとする取り組みが進んでいる。「TimeBanks USA」は、全米各地の自治体や市民グループに対して、タイムバンクの運営方法やノウハウをサポートしている団体だ。
《タイムバンクでシェアされるサービス例》
○子どもの世話
○ペットの世話
○高齢者の介護
○日曜大工
○家庭教師
○家や庭の清掃
○料理
○趣味・習い事の先生
○家庭教師
○家電の修理
○パソコンの設定
○ホームページ制作
○マッサージ
○自動車の運転代行
○法律や会計の相談
○マッサージなどの施術
■この記事の主な項目
●シェアリングユーザーの成長過程とは
●欧米シェアリング人口の割合と市場規模
●シェアリング経済で形成される信用社会の仕組み
●入会条件で決まるシェアコミュニティの価値
●自家製食品をシェアするフードスワップ
●多様なスキルを交換するためタイムバンキング
●タイムマネーによる労力の取引交換
●シェアリングエコノミーのエリート層と新たな信用社会
●安全コストを意識したカーシェアリング事業の採算と転換期
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2014.8.29
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
※JNEWS会員のPASSWORD確認はこちらへ
■この記事に関連したバックナンバー
●個人ドライバーが副業として参加するライドシェアリング市場
●お金を使わずに豊かな生活を追求する新ライフスタイルの台頭
●スキルシェアリングによる労働市場のセカンダリーマーケット
●小売業→レンタル→シェアリングサービスへのビジネス転換
●クラウドワークとネット副業を普及させるペイパルマネーの実力
●無形サービスの労力をシェアリングするタイムバンクの仕組み
●日用品の貸し借りを仲介するシェアリング・プラットフォーム
●非稼働時間をモニタリングした建設重機のシェアリング
●金銭報酬を介さないシェアリングエコノミーのエリート層
|