送金アプリを活用した個人間融資とマイクロビジネス
スマホから決済や送金ができるアプリは、ここ数年で急速に普及してきたが、それに伴い、「個人間でのお金のやり取り」にも変化が起きている。友人と食事した時の割り勘や、家族間で小遣いの送金にも活用されるようになっている。
LINE PayやPayPayでは、手数料無料で個人間の送金をすることができ、送金記録も残るために、現金をやり取りするよりも使い勝手が良い。
そこから派生して、「友人同士のお金の貸し借り」も、水面下では行われるようになっている。たとえば、月末の生活費がピンチの時に、友達から3万円を貸りて、翌月に3万円を返すというケースの他に、利息を加えた貸し借りをしているケースもある。送金アプリで友人からお金を借りることは心理的な抵抗が低く、未成年の中でも行われている。
事業としてお金を貸し付けるには、貸金業の登録が必要になる。しかし個人間のお金の貸し借りは、その対象外となっており、貸付金利を設定することについても、年率109.5%以内であれば合法である。そのため、個人送金アプリを隠れ蓑としたヤミ金融も広がり始めている。
年率109.5%というのは、元金として30万円を借りると、1年後には元利合計が62.8万円に膨れ上がってしまう超高金利だが、年率109.5%=日歩30銭のことで、100円を1日借りると30銭の利息が発生することと同じだ。仮に30,000円を借りて30日後に返済する予定ならば、元利合計は32,700円となり、この程度なら大丈夫と考えてしまう人が多い。
日本では、借金の金利を決める法律に「利息制限法」と「出資法」の2種類があり、出資法では、事業として貸付をする者の上限金利は年20%以内、個人間の貸付は年109.5%以内と決められており、これを超した場合には刑事罰が科せられる。
一方、利息制限法では、貸付の上限金利が年率15~20%までと決められているが、この法律には罰則がない。2つの法律が交錯しているため、個人間の融資は、双方の合意があれば金利が年率109.5%(日歩30銭)までの契約が成り立つが、返済不能に陥った後、弁護士が介入すれば、その金利設定は無効とすることもできる。
こうした知識が乏しい若者に対して、高金利の個人間融資が行われている実態がある。
ヤミ金融は例外的なものだが、送金アプリの普及に伴い、個人間のお金の取引は増えていくことが予測されている。たとえば、近所の友人にペットの世話や買い物代行などを頼んで、謝礼を送る時などにも、送金アプリは活用できるため、スモールビジネスよりもさらに小さなマイクロビジネスも成り立つようになる。さらに、会社から支払われる給与を送金アプリで受け取ることも、規制緩和によって実現する見通しのため、サラリーマンの生活スタイルや、「お金」の未来も変化していくことになる。
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■JNEWS会員レポートの主な項目
・送金アプリで行われる個人間融資の仕組み
・送金アプリを活用した副業の方法とテーマ
・デジタル給与の解禁で変化する生活スタイル
・デジタル給与がローカル経済に与える影響
・米国で普及するペイロールカードの仕組み
・給与天引きサービスの新領域と開発モデル
・給与データと連結した従業員ローンの仕組み
・給与連動型ローンの融資と返済スキーム
・リモートワークの次に訪れるサラリーマンの将来像
・年収下落の消費者から支持される後払い決済サービス
・フィンテックが狙う多重ローン利用者向け貸金ビジネス
・若年層から広がるパラレルキャリア/サイドハッスル
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2022.2.16
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