インバウンド観光を支える有償ボランティアガイド
日本を訪れる外国人観光客は、2017年に年間2700万人を超している。2007年には830万人だったことから、10年間で3倍以上に増えたことになる。彼らから人気の観光スポットは、東京や大阪、京都の他にも、広島、金沢、姫路など地方都市へと広がっていることから、各地の自治体や観光業界では、外国人観光客の誘致に力を入れ始めている。
その具体策となるのが、通訳ができるボランティアガイドを増やすことである。
地域の観光協会などがボランティアガイドを募集して、各地の観光名所に常駐してもらうか、予約制で外国人の観光地巡りに同行する方式である。
これまでは「通訳案内士法」という法律により、通訳案内士の国家資格を保有していない者が、有償でガイドをすることは禁止されていたため、ボランティアガイドは“無報酬”の条件で募集されている。それでも、ボランティア人材が集まるのは、得意な言語(英語や中国語など)を活かして、外国人と交流できることが大きい。自分の外国語がどこまで通用するのかを確かめる“腕試し”の目的や、海外留学で習得したスピーチ力を鈍らせないために、ボランティアガイドに参加している人は多い。
しかし、2018年1月からは通訳案内士法が大幅に改正されて、国家資格を保有しない者でも、有償で通訳ガイド業務を行えるようになった。それに伴い、地域の観光協会が有償ボランティアとして通訳ガイドを募集したり、外国人旅行者と有償ガイドの副業者とを仲介するマッチングサービスなども展開しやすくなる。
日本観光振興協会のサイトでは、観光ボランティアガイドの検索サービスを行っており、日本全国で活動するボランティアガイドのプロフィールや料金体系を掲載している。同協会の調査によると、全国にはボランティアガイドの団体が1,688組織あり、約43,000人のガイドが登録をしている。その中で、有料でガイドを行っているのは4割となっている。
国家資格を保有するプロの通訳ガイドは1日(8時間)で30,000円前後が平均値だが、有償ボランティアとしてのガイド料金は、法定最低賃金の時給水準か、それ以下に設定されている。しかし、ボランティアガイドの活動には、通常の労働とは異なる目的や使命感によって応募する人材が多いため、マッチングが成立している。
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