故人の遺品を適正価値で換金するエステートセール業
亡くなった人の遺品をどのように処分するのかは、高齢化社会の中で浮上してくる大きな課題だ。
日本では、リサイクルショップが「遺品整理」の看板を掲げるようになっているが、故人の持ち物はほとんどが値が付かないもので、査定額がゼロでも引き取れる物には制約がある。10年以上前に製造された家電製品は、故障のリスクが高いため買い取りの対象にならないし、衣類も大半は捨てるしかない。リサイクルショップは、廃棄物処分の認可を受けていないため、捨てる物は引き取ることができない。
ちなみに、家一軒分の家財道具をすべて捨てると、2トン車で4~6台分もの廃棄物が出て、処分費は30~50万円の見積金額になる。この相場は今後も値上がりしていくことが予測される。
一方、米国で遺品整理のビジネスは、Estate Sale(エステートセール)」として、主に富裕層の家庭を対象にしたサービスが確立している。エステートセール業者に家財道具それぞれの査定(価格設定)をした上で、買い取り業者や近隣の住人を集めたバザーセールを開催して売却をする仕組みだ。
ただし、実際の遺品売却ではトラブルもある。遺品は、親戚や友人らが押しかけて、良い品物を我先にと持ち帰ろうとすることが多々あり、その人に相続できる権利があるかを確認するのに手間がかかる。また、一般の人に家を公開して遺品を購入してもらうバザー方式でも、売上の総額を不正確に報告し、相続人への支払いを抑えようとする詐欺行為があったり、販売代行した後の支払いが滞ることで訴訟も起きている。
そうした状況から、遺品整理に関わる者は、弁護士などとも連携した信頼性の高い業者であることが求められている。米カリフォルニア州の Grasons社は、エステートセール事業をフランチャイズ方式で展開している会社だが、加盟店の審査については厳しいしい基準を設けている。
故人が残した家財道具の中には、ブランド品やアンティーク家具などに限らず、売却ルートによっては高く換金できる物や、簡単な修理をすることで商品価値が再生できる物も少なくない。しかし、日本ではゴミ同然に引き取られているのが実態であり、正当な評価がされていない。
しかし、リユース市場で流通する商品の中では、既に遺品の占める割合は高くなっている。それらは「亡くなった人の所持品」であったことは隠され、中古品としてオークションやリサイクル店舗で販売される他、新興国へ輸出されるものもある。「遺品整理」の看板を掲げる業者数は、ここ数年で急速に増え、日本国内で5千社以上とみられている。しかし、この業界の監督官庁は存在せず、見積価格の算定方法や、引き取った物品の処分・換金ルートについても不明瞭な点が多い。
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