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趣味と実益を兼ねた「本業+副業」のマルチワークスタイル

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JNEWS会員配信日 2010/6/11

 初夏の季節には自宅の庭木にも、新しい芽が伸びて手入れが必要になるが、これを植木業者に剪定してもらうと、職人一人あたりの日当は1万5千円~2万円というのが相場。二人の職人が一日かけて作業~片づけをすると、およそ4万円の料金をみておく必要がある。ところが、同じ作業をシルバー人材センターに頼むと、2万円前後で済む。日当でいえば半額だ。

シルバー人材センターから派遣されるのは、もちろんプロの庭師ではないが、まったくの素人ということはなく、料金を得られる植木剪定ができるまでの技術研修を受けた後、同じ地域で作業をする仲間達とチームを組み、経験者の指導を受けながら腕を磨くことができるため、プロに近い技量を持つ人も少なくない。そのため、同センターに仕事を依頼した利用者からのリピート率は非常に高くて、そこからの口コミで新規の顧客も増えている。

シルバー人材センターというと“高齢者団体”の印象があるかもしれないが、最近では登録可能な60歳になると、すぐに入会する人が多いという。同センターからの仕事は、毎日あるわけでなく、該当の仕事が依頼された時に発注される方式。
そのため、生活のために安定した月給を稼がなくてはいけない人よりも、退職金や年金で当面の生活資金には困らないが、趣味の特技を活かした仕事をしたい、という人達に適している。センターとの関係は“雇用”ではなく、委託や請負による個人事業者としての扱いになる。

仕事に使う道具なども、原則として自分持ちで、庭木作業の場合なら、剪定用のハサミ一式や脚立の他、軽トラックまで購入している人もいる。そこまで揃えると収支は完全な赤字だが、もともと趣味で楽しんでいた庭木の手入れを、本業のプロには及ばなくても、仕事としてできることが、彼らのモチベーションになっている。

《全国シルバー人材センターの成長推移》

《シルバー人材センターが受注する主な仕事例》
・庭木剪定、除草、草刈り
・屋内、屋外の清掃
・エアコン・換気扇の清掃
・包装・梱包作業
・家事サービス、調理作業
・育児サービス(子守、送迎など)
・福祉サービス(身の回りの世話、話相手、介助など)
・大工仕事、ペンキ塗り
・障子・ふすま・網戸の張替
・パソコン入力、パソコン指導
・一般事務、経理事務
・家庭教師、学習塾の講師
・翻訳・通訳
・店員、販売員、営業
・その他
※対応できる仕事内容は各地区のセンターによって異なる。

こうしてみると、いまのシルバー人材センターは、60代の人達にとっての副業プラットフォームとして成り立っており、そのスキルや労働力が、本職の仕事を奪うほどの影響力を持ち始めているのだ。

月に数万円でも構わないから、自分の好きな分野で仕事をしたいという副業ニーズはシニア層ばかりでなく、現役世代にもある。趣味としてスタートした活動や、スキル習得の経験を、休日の空き時間を利用して副業として活かすことができれば嬉しい。ただし、本業と副業の掛け持ちで、ゼロから顧客を開拓することは困難なため、副業希望者がスキル登録をしておくと、それに該当する仕事の依頼者を紹介してくれるプラットフォームがあれば便利だ。

正規雇用の枠組みが崩れている中で、本業以外にもう一つの仕事(副業)を持つ“マルチジョブホルダー”の保護については、国も推進しはじめているが、それには、アルバイトを掛け持ちするフリーターばかりでなく、「本業+副業」のワークスタイルを目指す人も該当する。欧米では、経済の見通しが不安定なこともあり、本業としての開業率が下がっている中で、副業者の開業を支援することが新たな経済促進策として浮上している。

【趣味を実益にするマルチジョブのワークスタイル】

 いまや日本の労働人口(6200万人)で、“正社員”の肩書きを持つ人はおよそ5割で、残りの5割は、アルバイト、派遣社員、個人事業者などであり、一つの仕事だけで十分な収入を得ることは、年々厳しくなっている。そこで今後の人生設計として、複数の収入源を持つことが重要になっている。

具体的な方法として、休日にアルバイトをすることや、副業で事業を手掛ける選択肢があるが、いずれも実行してから長く続いている人は少ないのが現実だ。それは、平日の本業で疲れている上に、休日まで働くことには、体力的にも精神的にも無理があるためだろう。

一方、上手な副業をしている人達に共通するのは、自分の好きなこと、得意なことを“仕事”にしていることだ。たとえば、結婚式の写真やビデオを撮影する「ブライダルカメラマン」の仕事は、ほとんどが土日に行われるため、平日は普通の会社勤めをして、週末だけの副業カメラマンが多く活躍している。彼らは元々カメラが大好きで、普段から撮影活動をライフワークにしているため、写真を週末の仕事(副業)にできることには喜びがある。

本当ならプロのカメラマンとして独立、それだけで生計を立てていけるのが理想だが、カメラを本職にすることの厳しさは十分に知っているし、自分が一流プロになれるほどの才能が無いことも分かっている。それよりも、生活費は本業の会社勤めで稼ぐとして、カメラは副業に留めておくのが丁度良いという価値観だ。

もちろん、報酬を受け取る以上、商品として成り立つだけの撮影ができる技量は必要だが、そこさえクリアーしていれば、ブライダル撮影の仕事は、副業のほうが何かと好都合だ。仕事を発注する結婚式場や写真スタジオにしてみると、ギャラや人件費の面で、副業者のほうが使いやすいためである。その他、ブライダル業界では、結婚式の進行役をする“プロの司会者”も、大半が週末限定の副業者である。

このように、休日に自分の特技を活かした副業をする人達の力は、本業として仕事に従事する「正規労働力」に対して、「副労働力」として、労働市場の中で新たな影響力を持ち始めている。アルバイトや派遣社員などの“非正規労働者”が主に単純作業向きであるのに対して、副業者はもっと高度な仕事に対応できるのが特徴。というのも、副業をする人は、単に生活費を稼ぐことよりも、自分が興味のある分野でのスキルアップを目的としているため、想像以上に質の高い人材が揃っているのだ。

《本業と副業の違いによる仕事の違い》

欧米では、日本よりも副業に取り組む人達が多いが、最近の人気になっている副業テーマは、フランチャイズや代理店に加盟するようなサイドビジネスではなく、自分の趣味や得意分野での知識やスキルを活用した仕事内容で、知的ワークが主流になっている。知的スペシャリストとして、いきなり本業で独立することは難しくても、副業としてのスタートであればハードルは低くなる。

《海外で人気となっている副業テーマ例》
・家庭教師、学習塾の教師
・趣味や習い事の講師
・スポーツコーチ
・楽器指導
・プログラム開発、ホームページ制作
・ビデオ作品の制作
・YouTube動画の編集代行
・翻訳、通訳
・カメラマン
・イベント司会業
・雑誌やネット媒体での原稿執筆
・アウトドア体験インストラクター

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JNEWS会員レポートの主な項目
・本業と副業で使い分ける仕事の内容と目的
・海外で人気の副業になっている知的職種の動向
・オンライン家庭教師による副業モデル
・専門家に副業機会を与える有料相談プラットフォーム
・有料相談サイトのビジネスモデル
・身近な経験で起業する副業者の集客支援サービス
・個人の副業者と依頼者のマッチングモデル
・スキルシェアの仕組みが変える職能教育
・個人間のスキルシェアによる副業プラットフォーム
・時間の枠に縛られない仕事と副業からの起業
・シングルタスクからマルチタスクへ変わる時間管理と働き方
・ダブルインカムを狙った家族法人による副業と家業の作り方
・ノーリスクで副収入を得るための着眼と長続きする副業の条件
・企業の商売敵として浮上する“無欲な労働力”のインパクト
・民間ビジネスとして広がる家庭内保育サービスの個人開業
・高級サービスをウリにした隠れ家的商売と自宅店舗の採算
・セラピストの独立開業を支援するサロンオーナービジネス

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