米国部活動の運営スタイルとコーチ人材の収益構造
米国では中高生の部活動運営に有給の専門人材を雇う風潮が高まっており、そこでも元アスリート達が活躍できる機会が広がっている。
まず、米国の各学校で部活動の管理を統括するのが「アスレチックディレクター」と呼ばれる専門職である。彼らの仕事は、校内にある複数の運動部が必要としている運動用具の購入やメンテナンス、コーチの人選、練習時間の管理、チームが試合で遠征をする時のバスや宿泊先の手配なども担当する。
アスレチックディレクターの求人要件には、大学で体育やスポーツマネジメントの学位を取得していること、教員免許の保有、アスリートとしての競技経験があることなどが挙げられている。統計による平均年収は5.3万ドル前後だが、採用する学校によって2万ドル~11万ドルまでの差がある。
Athletic Director Salaries(glassdoor.com)
一方、部活動のコーチに対しても3ヶ月のシーズン単位で報酬が支払われている。
コーチには監督となるヘッドコーチと、それをサポートするアシスタントコーチがあり、ヘッドコーチの平均的な報酬額は4000~5000ドルだが、部活動に熱心な学校では8000~10,000ドルを設定しているケースもある。公立学校では部活コーチを兼任するケースが多いが、その場合には「教員としての給与+コーチ報酬」が総年収額になる。
教員以外がヘッドコーチを担当する場合には、コーチ報酬だけでは生計が立てられないため、他の仕事も兼業する必要があるが、学校内にあるフルタイムの仕事を世話しているケースもある。しかし、現役を引退したアスリートが部活ヘッドコーチを目指すのであれば、教員免許を取得することが高年収を獲得するための正攻法になる。
新聞社「The Times」の分析によると、米国の中でもフットボール王国となっているペンシルベニア州ビーバ地区では、高校フットボールコーチの報酬額が他のスポーツ種目よりも49%高い。その中でも最も高いコーチは、コーチ報酬(11,482ドル)+教員給与(100,827ドル)により、合計112,309ドル(約1200万円)の年収を得ている。
■Football salaries highest among scholastic sports coaches, Beaver County-area analysis finds(The Times)
日本では文部科学省が中心となり部活動改革が進められている。その骨子となるのは、中学高校の部活動を令和5年度から段階的に地域クラブへと移行することで、これまで教員だけにかかっていた部活指導の負担を、地域の人達とも協力する形にしていくことである。それに伴い、地域大会や全国大会の参加資格を学校だけではなく、地域クラブにも与えることが検討されている。
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