米国では処方薬でも薬剤によっては90%以上の大幅割引きで販売されている。 もともと薬価が高く設定されている米国では、医療保険で処方薬を購入する方法と、ディスカウントされた処方薬を自費で購入する2つの選択肢が使い分けられている。(JNEWSについてトップページ
大幅ディスカウント販売される米国処方薬の業界構造

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JNEWS会員配信日 2022/6/30

 米国では、コロナ禍でオンラインによる処方箋薬の注文が10倍以上に増えている。これは医薬品の流通が不安定になる中で、自宅で保有する薬のストックを、従来の30日分から90日分にまで増やそうとする患者が増えているためだ。米国では、処方薬の価格も自由競争となっており、加入している医療保険によっても購入条件が異なるため、同じ薬でも、できるだけ安く購入できる薬局を探したいというニーズがある。

そこに着目したサービスを提供するのが、2011年創業の「GoodRx(グッドレックス)」という会社で、2020年にはナスダックにも株式上場している。同社は、全米各地に75,000件以上ある薬局(実店舗とオンライン)の価格情報を追跡、データベース化しており、ユーザーが処方箋薬の名称を入力すると、地域別に最安値で販売している薬局を検索することができる。加えて、独自のクーポンが発行されており、それを薬局に提示すると処方薬が30~40%の割引になる。

GoodRx
■クーポンの紹介映像

さらに、月額9.99ドルのGoodRxコールド会員に加入すると、米国で使われているおよそ8割の処方薬で、最大90%超の割引率となる特別価格が適用される。たとえば、胃潰瘍や逆流性食道炎の治療で使われるオメプラゾールという薬は、通常価格は66.49ドルだが、ゴールド会員価格は4.21ドル(93%割引)になる。

慢性的な持病があり2種類以上の処方薬を常用している人にとっては、GoodRxのゴールド会員になることで月額239ドル、年間で2862ドル(約37万円)の節約効果があることが示されている。この割引特典は保険を利用すると適用されないため、医療保険者には、保険を利用したほうが安い薬と、GoodRxを利用したほうが安い薬との判別をして、購入方法を使い分けることが推奨されている。

GoodRx Goldプラン

《GoodRxゴールド会員の特別価格例》

 GoodRxが処方薬の大幅ディスカウントを提示できる背景には、米国の薬価が世界と比べても割高に設定されていることがある。その価格相場を仕切っているのが、製薬会社、薬局、保険会社との間に立つ、「Pharmacy Benefit Management(PBM)」と呼ばれる薬剤給付管理会社で、全米には約150のPBM会社が存在している。

PBM会社は、製薬会社から大量の処方薬を買い付けることで、薬剤1つあたりの仕入れ単価を下げ、在庫管理までを担当している。米国には、日本のような国民皆保険制度が無いため、各世帯が民間の医療保険に加入しているが、保険会社は、安価に調達できる処方薬を保険適用のリストとして加入者に提供している。
GoodRxが処方薬の大幅ディスカウントができるのは、これらPBM会社の業界構造が関係している。

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