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全国に増える無人餃子販売所の運営モデルと採算構造

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JNEWS会員配信日 2021/10/10

2020年頃から全国に増え始めている無人店舗の形態に、餃子の無人直売所がある。
ハイテク設備は極力導入しないように工夫されており、代金は電子決済ではなく、「料金箱に入れる方式」にしているのが特徴である。

市街地やロードサイドの空き物件を活用する形で出店されており、顧客は無人の店内に設置された冷凍庫から餃子をセルフで取り出して、料金箱に千円札を入れる。餃子の料金は、「餃子36個で1000円」のシンプルな体系のため、釣り銭用の機械も設置されていない。

餃子の無人店舗は、冷凍餃子を在庫する冷凍庫と料金箱、数台の防犯カメラという設備構成のため、1店舗あたり300~500万円で開業することできる。スタッフは店に常駐しないため、毎月の運営コストも安く、24時間営業できるのが利点である。商品は他社から仕入れるのではなく、自社工場で生産、直売することで利益率を高めている。餃子の製造機は、小型のモデルなら100万円前後から購入できるため、個人事業として開業も可能だ。

顧客は代金を料金箱に入れるため、不正が生じるリスクはあるが、防犯カメラによる抑止効果があり、実際の不正率は低いという。これは、治安の良い日本だからこそ成り立つ、無人店舗の形態と言えるかもしれない。

一方、餃子の売上は、店舗の立地にもよるが、今のところは1日あたり4~6万円が平均値となっている。餃子の原価率は約20%で、他の加工食品と比べても低く、販売数が伸びるほど、機械化により製造コストを下げることができる。来店客が持続していけば、従来の飲食業よりも儲かる採算構造になっている。そのため、大手の飲食チェーンでも餃子店舗のフランチャイズ展開していく動きもある。

無人店舗の運営には、餃子の製造機と販売所の初期投資額として約500万円、オーナーとスタッフ1名が商品の補充や店舗の清掃などを定期的に行うことで、月商100~150万円の売上が目安となり、オーナー給与や開業資金の返済を除いた営業利益は月額30~50万円としている。人件費の負担が少ない無人販売所の収益性は、複数の店舗展開をするほど利益率が向上していくのが特徴である。

《餃子無人直販所のビジネスモデル》

ただし、餃子無人販売のビジネスは容易に行えるため、同業者が増えすぎて、消費者から飽きられてしまう心配もされている。「餃子36コで1000円」という料金設定は、食材原価からすれば決して安いわけではなく、今後は「40コで1000円」、「45コで1000円」というような価格競争に陥っていくことも考えられる。その点からすると、無人販売所の商材は、餃子に限定するよりも、他店と差別化されたニッチな商材分野を開拓していくほうが潜在的なチャンスは大きい。

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