毛髪ケアの見込客を開拓するヘッドスパサロンの業態開発
心理的なハードルが高い薄毛治療の見込客開拓ルートとしては、頭皮の洗浄やマッサージを行うヘッドスパサロンも注目されている。従来型の理美容室では、おまけ的なサービスとなっていたシャンプーや頭皮マッサージにフォーカスして、リラクゼーションも兼ねた毛髪ケアサービスを行うのが、ヘッドスパの業態であり、日本国内で15年ほどから登場してきている。
日本の法律では、洗髪することにも資格が必要なため、ヘッドスパで施術をするスタッフは理容師か美容師の有資格者でなくてはいけないという規定があり、人材採用や人件費の面から、ヘッドスパの専業店は難しいとされていた。しかし最近では、この規制を回避して、洗髪を行わずに頭皮マッサージ(揉みほぐし)のみを専門とした「ドライヘッドスパ」の業態が考案されてきている。
この方式であれば、理美容士の国家資格を持たない個人でも開業がしやすく、ドライヘッドスパのスキルを指導して独自の認定資格(民間資格)を与える団体も登場してきている。ドライヘッドスパ協会は、日本初のドライヘッドスパ店舗として2008年に開業した「悟空のきもち」が運営する施術者の養成スクールで、東京または大阪の会場で開催される7日間の技術講習と試験をクリアーすると、ヘッドマイスターという認定資格が与えられる。
ドライヘッドスパの施術単価は、「悟空のきもち」の料金例では、60分コースが7,000円、90分コースが10,500円、120分コースが14,000円(税込)に設定されている。悟空のきもちは、京都本店、大阪、東京を中心に6店舗が展開されているが、テレビやSNSで話題になったこともあって人気が高く、3ヶ月先までの予約が取りにくい状態が続いている。利用客の男女比は、およそ男性4割、女性6割となっている。
■悟空のきもち
■施術の体験映像
ヘッドスパの業態は海外でも人気化してきており、中国では2003年に設立された「Hairology(ヘアオロジー)」というサロンが、フランチャイズ方式により中国全土で2000店舗以上を展開して、200万人以上の会員顧客を獲得している。
同社は、独自のヘッドスパサービスを提供しながら、育毛剤や増毛などのヘアケア商品も販売するこことで収益性の高いビジネスモデルを形成している。その中では、日本のアートネイチャーが、自社の増毛商品「MRP(マープ)」を提供しながら、中国の施術者に最新の増毛技術を指導する提携関係が構築されている。
中国では「90後」と呼ばれる1990年代生まれの若年層を中心にヘッドスパの利用が広がっている。中国で薄毛に悩む層は、国民の6人に1人(約2億5,000万人)と推定されており、この市場にアートネイチャーが参入する足掛かりとして、ヘッドスパとの提携は、高い効果が期待できる。今後は、毛髪関連の大手業者がヘッドスパチェーンを買収することも予測され、ベンチャーキャピタルにとっても、ヘッドスパサロンは新たな投資対象になっている。
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