米国eコマースサイトの返品率は30%を超してきている。返品ポリシーを寛大にするほど売上が向上する効果があるが、 意図的な返品詐欺も増えるため、悪質な顧客をスクリーニングして損失を最小限に抑えるサービスが成長している(JNEWSについてトップページ
購入前試着プログラムの売上効果と返金商品の清算市場

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JNEWS会員配信日 2021/7/17

 eコマースサイトの購買特性を分析する「Invesp」によると、消費者が購入意思の決定に影響を与えるサイト側の重要なサービスとして、1位は送料無料、2位は無料返品という結果が出ている。そのため、eコマースサイトは、割引セールやロイヤリティポイントに費やしてきたコストを削ってでも、返品制度を充実させる方向へと向かっている。

《消費者の購入意思決定で影響度の高い項目》

そのため、アマゾンは30日以内、ウォルマートは90日以内という寛大な有効期を設定して、その期間内であれば使用済みの商品でも返品に応じている。米国の調査では、店舗購入者の返品率が8.6%であるのに対して、ネット購入者の平均返品率は30%となっている。これは、服や靴の試着をして、サイズが合わなければ返品することを推奨する売り方(Try-Before-You-Buy Programs/購入前試着プログラム)が普及してきたことが関係している。

2017年に米グレート・レイクスで創業した「BlackCart」は、アパレル小売業者に購入前試着プログラムの機能を提供している会社で、ShopifyやBig Commerceなどeコマースプラットフォームの出店者にも対応している。

通常、アパレル小売業者が購入前試着サービスを実施するには、試着後の商品が返品されないリスクがあるが、BlackCartは事前に顧客アカウントのスクリーニングを行うことで詐欺に遭う確率を減らし、それでも被害が生じた時には、ショップの損失額を弁済する保証を付けている。

つまり、ショップ側はノーリスクで購入前試着サービスを導入することができ、BlackCartは商品の売上に対して4~10%の成功報酬を徴収するビジネスモデルになっている。同社の実績によると、アパレルショップは、購入前試着プログラムによってオンライン注文数を30~50%増やすことができ、最終的な売上高も平均25%伸びることが報告されている。

《BlackCartの購入前試着プログラム》

小売企業では、返品ポリシーを寛大にすることで注文件数が伸びる効果と、返品率の上昇によって生じる損失とのバランスをみて、返品ポリシーの調整を行っている。緩すぎる返品ポリシーは「売上高-返品損失」による利益を下げてしまうが、返品ポリシーを厳しくしすぎると、他店に顧客が逃げてしまい、売上が伸びていかない。商品の単価と粗利益率によっても、適正な返品率のレンジが存在している。

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