国土交通省は新たな取り組みとして、重要事項説明書のオンライン交付による不動産契約を認めるようになっている。そこで不動産業界向けにオンライン商談~重要事項説明できるビデオ会議システムへの需要が高まっている。 (JNEWSについてトップページ
押印廃止の規制緩和で実現する不動産のオンライン取引

JNEWS
JNEWS会員配信日 2021/3/14

 押印廃止の規制緩和により、大きな変化が起きる分野の一つが不動産業界と言われている。従来、不動産の売買や賃貸契約では、宅地建物取引士(宅建士)の有資格者が、重要事項説明の書面交付と口頭での説明をした後、その内容に同意した証明として契約者の押印が法律で定められていた。

しかし、国土交通省は新たな取り組みとして、重要事項説明書のオンライン交付による不動産契約の社会実験を2019年から行っており、その中では、押印以外の方法で電子的に同意の記録を取ることが認められている。この方式は、コロナ禍でも不動産業界のニーズが高いことから、社会実験を経て、オンラインによる重要事項説明(オンライン重説)の標準型となることが見込まれている。

ITを活用した重要事項説明ガイドライン

オンライン重要事項説明で必要なIT環境としては、宅建士と契約者の双方がビデオカメラを通して画像と音声の通話、録画・録音ができること、本人確認ができること、重要事項説明の同意が記録できることなどが提示されている。

SkypeやZOOMのような汎用のビデオ会議システムを利用することもできるが、重要事項の説明から同意の記録までを円滑に行うには、不動産業界向けに専用開発されたシステムのほうが使い勝手は良い。そこでオンライン重説プラットフォームの開発市場が形成されている。

不動産賃貸大手のアパマンショップでは、「AOS(アパマンショップ・オペレーション・システム)」というシステムを独自開発しており、顧客が来店しなくても物件紹介ができるオンライン接客、希望する物件のオンライン内覧、オンラインで重要事項説明ができる機能を、アパマン系列店舗に提供している。

■アパマンのオンライン重要事項説明(映像)

また、不動産情報サイトもオンライン商談との相性が良いことから「アットホーム」や「LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)」でも、物件の問い合わせ、オンライン内覧、オンラン重説までができるクラウドサービスを中小の不動産業者向けに提供している。オンラン重説機能の利用は、1アカウントあたり月額1万円が基本となり、そこにアカウント数の追加やオプション機能を組み合わせていく料金プランになっている。

スマート重説(アットホーム)
オンライン内見、IT重説サービス(LIFULL HOME'S)

現状では、オンライン上の重要事項説明でも、契約者が同意した記録として押印した書面を返送してもらうケースが多いが、国土交通省では紙の書面と印鑑に代わる、電子書面の交付と電子署名の利用も認めている。

それが普及すると、不動産仲介業務の大半はオンラインで行うことが可能になり、遠方の物件を取り扱うことも容易になる。たとえば、東京在住の不動産投資家が地方の格安物件を購入したり、地方移住者に適した空き家物件の取引も活発になることが予測されている。

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