全国的に不足する学童保育の運営形態と採算構造
幼児向けの保育園と比べると、小学生を対象とした学童保育の必要性については、まだ社会的な認知も低く、公的な財源も少ないのも実情である。その一方で、学童保育の定員枠を超えて、入所したくてもできない“待機児童”の数は水面下で増えている。全国学童保育連絡協議会が全国の施設を対象に行った調査によれば、2018年時点の待機児童数は16,957人となっており、保育所の待機児童数(約2.6万人)と近接している。
学童保育の運営に必要なものは「場所」「人材」「資金」が大きな柱となるが、その中でも、人材の採用が高いハードルになっている。2015年に改正された児童福祉法の中では、学童保育に必要な人員として、1教室(定員40名以内)に2名以上の職員を配置して、そのうち1人は保育士、社会福祉士、教員免許などの資格を持ち、都道府県が行う研修を受講して「放課後児童支援員」としての認定を受けることが条件になっている。
しかし、この条件では、学童保育の人員確保が難しいことから、2020年度には「従うべき基準」から、拘束力のない「参参考にすべき基準」へと緩和する法改正が行われる見通しだ。規制緩和が実現すれば、無資格の職員が1人で教室を運営することも可能になる。ただし、40人の子どもを1人で担当することは、現実問題として難しいため、できるだけ質の高い人材を、学童指導員(学童の先生)として確保することが、民間企業が同市場に参入する上でのポイントになる。
■学童保育の基準廃止へ 厚労省方針(朝日新聞)
統計的にみれば、学童指導員の平均年収は150万円前後と低いのが実態だが、これは、午後から夕方までの勤務形態で、時給による非正規雇用が多いことや、収入源が、自治体の予算や補助金を主体に経営されていることが関係している。
公立の学童保育施設では、運営費の8割近くを公的な財源に頼っている。そのため、保護者が負担する利用料は月額3,000~7,000円と安いが、サービスの内容は限定的である。今後は公立の施設でも、運営を民間業者に委託する形で、夕食の提供、時間の融通を利かせた送迎サービス、習い事などのオプションサービスを充実させることで、事業としての採算を向上させる道が模索されている。
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