市街化調整区域でも可能な高齢者賃貸住宅の大家業
市街化調整区域では、賃貸アパートの建設は原則として不可になっている。しかし、高齢者向け施設については建設を認めている自治体が多い。その中でも、「サービス付き高齢者住宅(サ高住)」については、個人の大家でも参入しやすい市場として注目されている。
サービス付き高齢者住宅は、平成23年に「高齢者住まい法」の改正を受けて創設された住居形態である。60歳以上を入居対象にして、生活相談と安否確認サービスが付帯したバリアフリー対応の賃貸住宅で、オプションとして食事の提供、清掃・洗濯等の家事援助、買い物代行などのサービスも受けることができる。従来の老人ホームは、介護レベルの高い高齢者を対象に24時間体制のケアをするのに対して、サ高住では、介護レベルが軽度の高齢者が、通常の賃貸アパートと同じように自立した生活ができるようになっている。
平成29年の時点では、全国に約6800棟、22万戸のサ高住があるが、国の政策では老人ホームを含めた高齢者向け住宅の供給量を、2025年までには高齢者人口の4%(現在は2%台)にまで増やしていく計画のため、全国の自治体でも該当の物件を開発、運営をする事業者を支援していくことになる。現状では、要支援・要介護認定を受けている高齢者でも、85%が在宅での生活をしていることから、老人ホームに入居するほどではないが、一人暮らしが不安な高齢者を中心に、サ高住の整備が進むとみられている。現在の整備状況は「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」の中で、全国の物件を検索することができる。
サービス付き高齢者住宅の入居にかかる費用は、家賃、共益費、サービス費(生活相談・見守り)を込みにして、大都市圏では月額11.9万円、地方では8.6万円が平均値だが、地価が安い地域ほど家賃設定を抑えることができる。そのため、都市部に隣接した郊外で、医療機関へのアクセスが良い地域が、サ高住の開発に適した立地として注目されている。
サ高住の運営形態は、賃貸物件の建物を提供する大家と、ケアサービスを提供する介護事業者との協業によって行われるのが一般的で、国土交通省の調べによると、建設会社や介護事業者が大家から物件を借り上げしてサ高住の運営にあたるサブリース方式が、全体の68%となっている。
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