JNEWS会員配信日 2016/4/21
日本で移動販売の廃業率が高いのは、車内の簡単な調理設備では、本格的な料理が提供できないため、固定的なファンを作れないことも関係している。オリジナルの名物料理を持たないと、移動販売で生き残ることは難しい。
一方、米国のフードトラックは、車両の基地施設となる「コミサリー」や「商用レンタルキッチン」を利用することで、他店とは差別化したオリジナル料理を開発することに力を注いでいる。
フードトラック同士の競争が激しいロサンゼルスでは、ハンバーガーやタコスなどに、インド、韓国、タイ、日本料理などのテイストを加えたオリジナル料理が、多種多様に販売されている。スパイシーな味付けではあるが、オーガニックな肉や野菜が使われたヘルシー志向で、ベジタリアン向けの料理を提供するトラックも多い。
客単価は10ドル前後で、食材原価は3割程度に設定するのが一般的。ストリートフードは、屋台やワゴンの形態であれば 1万ドル未満の予算からでも開業することは可能だが、提供できる料理と、移動できる距離に制約があることから、5〜10万ドル(約550〜1100万円)の開業資金を投じたフードトラックが多い。それでも、実店舗のレストランを開業することと比べると1/2から1/3の予算で済む。
ただし、トラックには燃料代、駐車場、保険料、整備費用などがかかり、月々の経費は、実店舗の飲食店よりも高くなるため、ボロ儲けできるわけではない。
トラック1台につきスタッフ2〜3名の体制で、1日 1,500ドルの売上目標を立て、年間を通してキープすると 約40万ドル(約4,200万円)の年商になる。この辺りが、米フードトラックにとっての損益分岐点と言われている。
日本の飲食業(実店舗)の場合では、1坪あたりの売上=15万円/月が平均値で、20坪の店なら月商300万円、年商で3,600万円になるが、それと米フードトラックは同程度の採算性といえそうだ。ただし、実店舗は客足が一度落ちてしまうと、客を呼び戻すことが難しい。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です→記事一覧)
■JNEWS会員レポートの主な項目
●フードトラックの規制問題と業界構造
●フードトラック基地「コミサリー」の役割
●ストリートフードによる地域経済の再生
●社会事業としてのフードフェスティバルとビジネスモデル
●フードトラックの経営指標と差別化戦略
●米フードトラック事業者の採算性
●オリジナル料理のブランド化とFC展開
●ご当地グルメのブランド管理モデル
●フードビジネスによる中小飲食店の生き残りと再生の方向性
●フリーマーケットを起点とした小売ビジネスの新形態
●自治体が育成する「ご当地ゆるキャラ」の経済効果と資産価値
●フードトラックからスタートするナチュラルフードビジネス
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2016.4.21
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