JNEWS会員配信日 2015/10/6
純金は錆びることがないし、劣化もしないため、金の地金には新品と中古品の価格差が存在していない。つまり、中古で買い取った地金でも「その日の金相場×重量」により新品と同じ価格で売ることができる。
しかし、中古地金の流通で怖いのは、偽物が入り込むリスクがあることだ。国が発行する紙幣に比べると、地金のインゴットは偽造がしやすく、国際ブランドの刻印が入っていたとしても、それが“本物”であることの証明にはならないのだ。
地金の真贋は、金属の比重を測ることで判定されるのが一般的だが、タングステンという金属は、24金とほとんど比重が同じため、タングステンに金メッキをした偽物が出回るようになり、質屋などの買い取り業者を悩ませている。
韓国の「LG Metals」は、国際公式ブランドとして指定されている地金業者だが、同ブランドの偽地金が出回るようになり、世界のゴールド市場での信用が失墜してしまった。そうなると、LG Metals の刻印がある金は、本物でも買い取りをしないという業者が増えるため、ブランド価値が一気に下落してしまうのだ。
そうした被害を防ぐために、大手の地金業者は、顧客から買い取った地金はすべて溶かして、新たなインゴットに作り直すことで、自社ブランドの偽物が二次的に出回らないような対策を講じている。それが、販売手数料の高さにも繋がっている。
このような業界事情により、金地金のセカンダリーマーケット(中古市場)は存在しないわけではないが、信用力が低いものになっている。
スモール業者が、金の二次流通で新ビジネスを模索するのであれば、政府発行の「地金型金貨」を扱うほうが良い。世界で信用力が高く、地金以上の価値で評価されているのは、カナダ政府が発行する「メイプルリーフ金貨」と、オーストリア政府が発行する「ウィーン金貨」の2種類だ。
※オーストリア政府発行、ウィーン金貨の仕様(田中貴金属)
いずれも、純度 99.99%の24金であることが政府によって保証されており、デザインの中に偽造対策が施されている。そのため、金の相場に若干のプレミア価値が上乗せされて売買されている。売却の際には、金貨の表面に傷などが付いていなければ、プレミア価値で買い取ってもらえるが、傷や凹みがあれば地金相当の買い取り価格になる。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です)
■JNEWS会員レポートの主な項目
●マイナンバー対策としての純金資産
●海外とは異なる日本人からみた金資産の役割
●用途によって異なる金の購入方法と手数料体系
●純金アクセサリーの長所と短所について
●新品と中古の区別が無い金の流通構造
●貴金属買取店を利用する上での注意点
●高齢世帯から子供世帯へ資産移動する相続対策ビジネス
●貴金属買取専門店の採算とリサイクルボックスの開発商機
●欧米人はなぜ金貨の購入に走るのか?命を守る本物資産
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2015.10.6
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