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年商2兆円、800万人が参加する 組織販売の実態と仕組み |
written in 2009/5/12
昔の訪問販売といえば、セールスマンが住宅街を戸別訪問するのが一般的であったが、在宅率の低下や防犯上の理由から、いまでは初対面のセールスマンを家に入れて、ゆっくり耳を傾ける人は皆無といってもよい。
その代わりに、急成長してきたのが「組織販売」で、ネットワークビジネスと呼ばれることもある。無店舗型で個人の販売組織を広げていくことによって、口コミや紹介の輪を広げて売上を伸ばしていく形態であるが、統計によれば全国で約800万人もの販売員が登録されている。これは意外にも、日本の家庭で6軒に1軒が何らかの組織販売に加入していることを意味する。
《訪問販売の形態別でみる販売員数(国内:2007年)》
・家庭訪問 | 96.7万人( 9.5%) |
・組織販売 | 809.2万人(79.9%) |
・展示販売 | 0.5万人(0.06%) |
・職域販売 | 0.1万人(0.01%) |
・その他 | 116.5万人(11.4%) |
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合計 | 1023.2万人 |
《訪問販売による商品別の売上高(国内:2007年)》
・化粧品 | 5,228億円 |
・健康食品 | 4,633億円 |
・清掃用具 | 2,149億円 |
・下着 | 919億円 |
・学習教材 | 527億円 |
・住宅リフォーム | 457億円 |
・台所用品 | 404億円 |
・清浄機等 | 330億円 |
・建物清掃 | 292億円 |
・寝具 | 239億円 |
※出所:(社)日本訪問販売協会
組織販売のネットワークが 800万人という規模にまで拡大しているのは、日本の水面下でもマルチレベルマーケティング(MLM)の販売システムが浸透しているためだ。これは連鎖販売取引(通称:マルチ商法)と呼ばれ、個人の販売員が次々と仲間の販売員を勧誘する形で販売網を拡大していく方式として1980年代から流行しはじめている。自分の下層にたくさんの販売員を作るほど、紹介料やボーナスのマージン率が高くなるため、友人や知人に強引な加入を勧めることが社会問題となり、2000年からは特定商取引法によって連鎖販売には厳しい規制がかけられることになった。その影響により、1996年には国内で3兆3千億円あった訪販市場の売上高が、2007年には2兆3千億円にまで減少している。
しかし、市場が消滅(ゼロ)になってしまっているわけではないところがポイントで、連鎖販売といっても法律上のルールを守っていれば違法業者というわけではない。現在では「絶対に儲かるから」と言うように、確実に利益が生じるような誤解を与えるトークで勧誘するだけで違法になるため、合法的な業者としてビジネスを継続していくには、商品自体の魅力を高めていくことが不可欠だ。そのため最近では、他人を勧誘する目的よりも、自分自身がその商品(化粧品や健康食品など)を気に入って、リピート購入するためにMLMに加入する人も増えている。
《連鎖販売取引の組織図》
連鎖販売で年間1千億円以上の売上がある日本アムウェイでは、約67万組の販売会員(ディストリビューター)を組織化しているが、それとは別に「買うだけクラブ」という、他人への販売はせずに、自分向けの商品購入だけを希望する人達を対象とした会員制度を設けているが、その会員数が23万組にもなる。ただし連鎖販売を前提にしている商材は、もともと高リベートを払う目的で価格が割高に設定されているため、“自分用”としての購入は不経済といえるかもしれない。
そこで米国では、連鎖的な“マルチレベル”ではなくて、本当にその商品を気に入っている販売員を単体(無連鎖)で募集する“シングルレベル”の組織へと移行する動きがある。米国では訪問販売のことを「ダイレクトセリング」というが、個人が販売員(ダイレクトセラー)となって無店舗型で自分のオススメ商品を販売することは、副業として活発に行なわれている。
(儲かる商売の裏側一覧へ)
●2兆円を売る800万人の組織販売の仕組み
●連鎖販売取引が形成している組織体系
●マルチ商法の衰退〜健全な組織販売の形
●友人に対するデモンストレーター〜実演販売ビジネス
●ワインパーティによるダイレクトセリングの仕組み
●欧米におけるホームパーティの招待経路と関連市場
●任天堂が仕掛けたパーティビジネス
●ホームパーティによるWiiの販促戦略とは
●ネットから離れてリアルな友人関係を生み出すオフ会市場
●寂れた店構えのソバ屋が潰れない理由と共同購入ビジネス
●紙より儲かる電子書籍ビジネスの利権争いと新たな販売手法
●マネタイズブームの裏側にある消費者インセンティブの仕掛け人
●SNSの収益源として浮上する紹介報酬制度の仕組みとリスク
●消費者の購買力をバックに力を増す共同購入グループの復権
JNEWS LETTER 2009.5.12
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