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客室では儲からない? 一流ホテルが宴会客を獲得したい理由 |
written in 2007/12/15
年末も押し迫ってくると各職場で忘年会をやるのは恒例だが、サラリーマン一人当たりの平均値では2〜3回の忘年会に参加していて、一回の会費は5千〜7千円というのが相場のようだ。取引先までを含めた忘年会ともなると参加者は百名を超す規模になることもあり、近頃では居酒屋ばかりでなく一流ホテルまでが、お得な料理プランを用意して宴会客の獲得に力を入れている。
忘年会に限らず、各種の宴会イベントは飲食業界にとって最も重要な収益源である。シティホテルの経営でいうと、宿泊料金がメインの収入になっていると思うかもしれないが、実際には全体の業績に占める宿泊料金のウエイトは3割にも達していない。残りの7割以上はホテル内のレストランと宴会場の売上によって経営が成り立っているのだ。その様子は各施設の利用人数でみるとわかりやすい。帝国ホテルを例にすると、昨年度の宿泊者数は約13万人であったのに対して、レストランの食事客は40万人、宴会場の利用者は43万人となっている。
ホテルの建物は宿泊スペース(客室)が多くを占めているため惑わされてしまうのだが、各施設の収容人数でみると「客室<レストラン<宴会場」という順になっている。つまり贅沢に作られた客室でホテル全体の高級感を演出しておいて、実際には宴会場で稼ぐという収益構造になっているのだ。ところが近年では宴会場の稼働率が次第に落ち込んでいる。というのも、ホテルの宴会需要には「個人宴会」と「法人宴会」とがあり、個人宴会は結婚式の披露宴が大半を占めている。しかし少子化や結婚式の簡素化(ジミ婚)によって利用が減ってしまい、新たな宴会需要を開拓しなくてはいけない状況に追い込まれているのだ。
《帝国ホテルの施設別稼働率(平成18年度)》
ホテルの売上は「客単価×利用人数」で決まるため、できるだけたくさんの人に利用してもらったほうが収益は向上する。その目的のためには、宿泊客を増やすよりも宴会客を増やすことのほうが効果的であるため、各ホテルでは宴会場の収容能力を大きくしてあるのだが、その稼働率がなかなか伸びないという悩みを抱えている。客室の稼働率を上げることに着目したビジネスとしては、旅行客向けの宿泊予約サイトが普及しているものの、宴会場の稼働率に着目している事業プランはいまのところ少ない。それにはホテル側が表立って「宴会客を増やしたい」とは言えない事情もあるのだが、結婚式の需要増が期待できなくなっていく中では、新たな宴会需要を掘り起こせるベンチャー的な支援サービスが成り立つ可能性が高い。
(儲かる商売の裏側一覧へ)
●客室では儲からないホテル経営の裏側
●ビジネスホテルはどうやって稼いでいるのか?
●結婚市場の穴を埋める新たな宴会需要の開拓と幹事代行事業
●幹事代行サービスはなぜ儲からないのか?
●結婚市場の穴を埋めるリユニオンイベント市場
●宴会パーティを収益化する発想と古い業界慣習からの脱却案
●立食パーティを儲かるイベントにする発想
●結婚市場の商慣習から離れた今後の宴会ビジネス
●オンライン招待サイトにおけるチケット販売機能の仕組み
●ダフ屋だけではないサービス業界に広がるチケットビジネス
●旅行代理店とは異なる出張専門旅行会社のビジネスモデル
●同窓会ブームで浮上する“再会”を支援するリユニオン市場
●ホテル・レストラン業界にみるオンライン予約機能の強化と戦略
JNEWS LETTER 2007.12.15
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