|
加熱する企業再生ビジネスの仕組みと、 不足する再生請負人 |
written in 2004/9/5
ここ数年で日本の経済が再び浮上しはじめている一因には、企業再生の仕組みやノウハウが確立してきたことが挙げられる。これまでは、会社が経営不振に陥れば“倒産”へのシナリオを突き進むしかなかった。企業が倒産すれば、そこに出資(融資)していた投資家や銀行は資金を回収できないために、大きな損失を被ってしまう。そのため業況の厳しい会社は、金融市場から見捨てられたままになっていた。
しかし近頃では大手銀行関係者のところへ「経営の厳しい会社があれば紹介してもらいたい」というオファーが殺到している。その依頼元となっているのは、企業再生を専門とする会社である。
企業再生ビジネスのモデルは、業績不振に陥った会社の財務状況や商品構成、ブランド力、確保している顧客の数や質などを詳しく調べ上げ、“魅力あり”と判断すれば、潤沢な資金で会社を買収して再生に取り組む。再生の方法は、その会社のお荷物になっていた赤字事業を廃止して採算性の高い事業のみに特化させたり、無駄な保有資産の売却、従業員の大量リストラなどを敢行して経営の体質を改善させる。数年間の目標で黒字会社へと蘇らせることができれば、それを同業他社に売却したり、株式上場させるなどして投資額を上回るリターンを得るというものだ。
日本で企業再生ビジネスが注目されるようになったのは、破綻した長期信用銀行を米リップルウッド社が1200億円で買収し、わずか5年で「新生銀行」として再建して株式上場させることで時価総額8千億円超の企業へと蘇らせた頃からである。それまでは、この種の再生ビジネスを手掛ける会社は「ハゲタカファンド」として疎まれていたが、新生銀行の上場後は、国内の銀行や証券会社などが、こぞって子会社を設立して企業再生ビジネスを手掛けはじめている。
(儲かる商売の裏側一覧へ)
●企業再生を支える投資ファンドの仕組み
●投資会社で人材が不足する優秀な再生請負人の存在
●淘汰の時代に求められる「健全な廃業」を指南する専門サービス
●後継者不在で廃業する繁盛店の営業権を仲介するサービス
●ネット企業への転換で倒産危機を回避するための新経営計画
JNEWS LETTER 2004.9.5
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
|
|
|
|