介護施設の夜勤負担を軽減するオンコール代行サービス
医療や介護現場の人材不足が深刻化する中、オンコール代行サービスというリモートワークの形態が導入されはじめている。介護施設に勤める看護師の勤務体系には、日勤や夜勤の他に、オンコールという勤務体系がある。これは、入居者の容体急変などの緊急時に備えて自宅で待機し、呼び出しがあれば出勤して業務を担当する。
もともとは、夜勤の人員確保が難しい中で、緊急時の対応ができるようする目的でオンコールのシフトが組まれているが、看護師にとっては、自宅に居ても緊張感は持ち続けなくてはならないためストレスも多く、離職の原因にもなっている。
この問題を解決するため、遠隔医療相談の事業を手掛けるドクターメイト株式会社(東京都港区)では、「夜間オンコール代行」のサービスを提供している。介護施設で夜勤を担当するスタッフが、入居者の容体などで気になる点が生じた場合には、ドクターメイト所属の看護師や医師にリモートで医療相談をすることができるため、自宅待機の同僚を呼び出す回数を減らすことができる。
介護業界大手のニチイ学館では、系列の有料老人ホームの9施設で、2021年8月末からドクターメイトとの提携により、夜間オンコール代行を導入しはじめた。介護職員の中では、「夜間帯に何かが起こったら不安、相談できる相手がいない」という声が以前からあり、夜間対応ができる医療人材の確保が課題となっていた。
また、茨城県でもドクターメイトとの提携により、県内の入所系の福祉施設(約180施設)で夜間(17:00~翌日8:30)のオンコール代行により、夜勤職員の遠隔サポートができる体制を整備していく。
日本看護協会の調査によると、特別養護老人ホームに勤める看護職員の中で、オンコール勤務がある割合は91.8%、平均待機回数は9.1回/月とかなりの負担になっている。報酬(手当)の面では、1回あたりのオンコール待機手当は平均1,353円、待機中に電話対応をすると1回あたりの平均手当は1,133円。電話での対応が難しく、出勤した場合の手当額も1回平均が2,288円と低いのが実態である。
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