農家とオンデマンドワーカーの農作業マッチング事業
日本全国の主業農家数は、2010年時点の36万世帯から2019年時点では約23万世帯まで減少して、新たな働き手となる人材の不足も深刻化している。その中、株式会社アグリトリオ(愛知県豊橋市)では、製造業で培ったノウハウを活かした、農家と農作業人材のマッチング事業「農How(ノウハウ)」を2019年8月から展開している。
同社が拠点とする東三河地域は、農業産出額が日本一でありながらも、人手不足は深刻であることから、この事業が立ち上げられている。農業の求職求人サイトは他にもあるが、「農How(ノウハウ)」は、1日単位・時間単位で働けるオンデマンド型の人材マッチングを行っているのが特徴で、2021年4月末時点で、東三河地域を中心とした働き手(クルー)の登録者は4,000名、農家の登録数は200件を超している。
農業にはマニュアルが存在せず、何をどう作業するのか未経験者には分かりづらく、求職者にとってハードルが高いという意識があるが、農Howでは、キャベツ、トマト、ミニトマト、菊、ひまわり、ハボタン、食用花(エディブルフラワー、食用小菊)、キンギョソウ、いちご、柿、メロン、とうもろこし、ブロッコリー、さつまいも、たまねぎ、かぼちゃ、大根、おくら、ラディッシュ、黒瓜、大葉、リーフレタス、米、パンパスグラスといった、多種多様な作物の動画マニュアルを用意することで、主婦層、シニア層・副業者、フリーランスなど、農業未経験者でも働きやすい仕組みを構築している。
農Howの運営会社、アグリトリオの母体は自動車・汎用機器の製造販売事業で80年以上の社歴がある武蔵精密工業株式会社で、製造業の現場で培ったマニュアル化のノウハウが、農業の人材マッチング事業にも活かされている。
作付けや収穫など、繁忙期の働き手が欲しい農家は、農Howのサイトから最短3分で求人募集を作業時間単位で行うことができ、マッチングが成立すると、農Howでは作業1時間につき300円の手数料を得る仕組みで、他の求人サイトのように掲載料はかからない。
現在は、人材募集のエリアが、愛知県と静岡県西部の三遠地方に限定されているが、この事業はフラチャイズ展開も進められており、2022年3月末までには47都道府県全地域で農Howサービスを開始することを計画している。
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