居抜きオフィス物件の仲介ビジネスと契約の注意点
居抜き物件の仲介は、多様な商業物件にも広がっている。その中でも、スタートアップ向けのオフィスを居抜きで借りたいという需要は東京圏で高まっている。
通常、オフィスに入居するまでには、オフィスビルの賃貸契約をした後、デスクや椅子などの什器購入と、会議室や休憩室などの内装を作る必要がある。スケルトンの状態から内装工事を行う場合は、坪単価で20~40万円が相場となっており、50坪のスペースで1,000万円以上の費用がかかる。
スタートアップ企業がお洒落なオフィスを持ちたがるのは、人材採用がしやすくなることと関係があるが、事業の成長過程によってはオフィスも数年サイクルで引っ越しをしていく必要がある。そのため、ゼロからオフィスを作り、原状回復して退去するよりも、既に内装やオフィス家具が揃っている居抜きオフィスへの入居を希望する経営者は増えている。
株式会社IPPOが2020年4月に立ち上げた「ハイッテ」は、スタートアップ・ベンチャー企業に特化した、居抜きオフィスの仲介サイトで、現在は東京都内を中心に約50件のオフィス物件が登録されている。コロナ禍では、オフィス移転コストの削減ニーズが高まっており、物件オーナー(大家)にとっても「居抜き移転」を認めることで、空室リスクを抑えられるメリットがある。
■ハイッテ
ただし、居抜きオフィスにはデメリットやトラブルも存在している。前入居者がこだわって作ったオフィスの内装は、ニーズが合わないと使い勝手が悪く、レイアウト変更などに予想以上の費用がかかることもある。また、退去時の原状回復義務は、原則として新入居者が引き継ぐことになるため、次の居抜き入居者が見つからなければ、大家に返却するためのコストが高くつく。
こうした「責任の所在」を明確にするために、居抜き物件の仲介では、オフィス設備や内装などの造作を譲渡するための契約書(造作譲渡契約書)を作成するのが一般的だ。オフィスの中には、リース契約で調達されている設備もあるが、それらの契約を、新入居者が引き継ぐのか否かも明確にしておかないと、前入居者・新入居者・大家との間でトラブルが生じることになり、居抜き物件専門の仲介ノウハウが必要になってくる。
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