新聞店と提携した認知症高齢者の探索事業
70歳以上の高齢者が外出中に迷子、行方不明になる件数は、警察への届け出がある分だけで年間2万件を超している。その7割以上は認知症が原因となっており、迷子になった高齢者を発見するためのツールやサービスが求められている。高齢者はスマートフォンなどのデバイスを使いこなすことが難しいため、その方法はできるだけシンプルな方が良い。
地図コンテンツの制作を本業とする昭文社(9475)が考案、販売している「おかえりQR」は、連絡先が記録されたQRコード付きのシールで、持ち物(カバンや杖など)に貼り付けておけば、近隣の住民が不審な高齢者を発見した時に、家族への通知をすることができる。
「おかえりQR」を利用する家族は、オンラインサイトにアクセスして、QRシール固有のID番号と、連絡先となるメールアドレス(最大3件まで)を事前に登録しておく。名前、住所、電話番号などの個人情報までは登録する必要は無い。一方、迷子になった高齢者を発見した人は、持ち物に貼られたシールのQRコードをスマートフォンでスキャンすると、現在の状況や場所を地図付きで、家族にメール通知することができる。
「おかえりQR」は、シール10枚がセットになったA4シート1枚と、ユーザー登録機能がセットで1,980円の設定。ただし、迷子探索システムの利用期限は1年間となっているため、継続して利用する場合には、1年単位で再購入をする必要がある。
昭文社では、「おかえりQR」による迷子発見サービスの普及を進める策として、全国各地の郵便局と新聞販売店との提携を進めている。東京、神奈川、山梨、埼玉、千葉、群馬、栃木、茨城などの郵便局(約4800局)で、同シールの店頭販売を行っている他、2019年11月には、京都新聞販売連合会に加盟する新聞店(京都市内の59店)も、販売窓口となることが発表されている。
郵便局や新聞販売店は、毎日の配達業務で地域を巡回しているため、高齢者がいる家庭との繋がりが深く、配達員が迷子を発見できる可能性も高い。そのため、認知症患者早期発見サービスの提携先に適している。「おかえりQR」シンプルな機能ではあるが、継続的な利用世帯が増えていけば、シールの販売=システム利用に対する年間収益が積み重なっていく仕組みといえる。
■おかえりQR(昭文社)
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