飲食店にもフードロス対策が求められるようになっているが、単に廃棄食材を減らすのではなく、フードシェアリングによって新規客の獲得に繋げる手法が注目されている(JNEWSについてトップページ
フードシェアリングによる飲食店舗の新たな集客方法

JNEWS
2019/10/4

 廃棄食材を減らす取り組みとして、2019年10月から「食品ロス削減推進法」が施行されたことを受けて、フードロス対策への取り組みが全国各地に広がっている。食品業者としては、単に廃棄食材を減らすだけでなく、それを新たな集客へと繋げたいと考えている。

その具体的な仕組みとして、株式会社コークッキングが運営するフードシェアリングサービス「TABETE(タベテ)」は、飲食店が当日に売れ残りそうな食品をアプリ上に安価な設定(処分価格)で出品して、閉店時間までに取りに来れらるユーザーとのマッチングを行っている。

TABETEは2018年4月からスタートしたサービスだが、2019年10月の時点では、20~40代の働く女性を中心とした約16万人の会員ユーザーと、約330店舗の加盟店舗を獲得している。各地の自治体でも「TABETE」に対しては、協力的な姿勢を見せており、浜松市や金沢市が提携をして、地域の食品業者に対してTABETEへの参加を呼びかける動きが出てきている。

飲食店がTABETEを利用するための初期費用や月額会費などはかからず、アプリを介して売れた食品の売上高に対して、35%の手数料が徴収される仕組みになっている。(その中の5%は非営利団体に寄付される)

飲食店のTABETE活用プランとしては、そのまま廃棄食材を提供するのではなく、TABETE向けのテイクアウトメニューを作成して、店内の通常メニューよりも2~4割引で提供しているようなケースが多い。たとえば、1,200円の料理メニューを800円でテイクアウトしてもらうと、35%の手数料を差し引いた店側の収入は520円となり、食材原価+若干の利益が得られるような線になる。

飲食店が使う食材は、大量に仕入れるほど仕入原価が安くなるが、当日または数日のうちに使い切らなければ廃棄ロスになってしまう。そのため、ディナータイムの通常営業に加えて、ランチ営業を行う飲食店は多い。それにテイクアウトメニューも加えれば、廃棄ロス対策としては有効であるし、TABETEを通して消費者に店を知ってもらい、通常営業の固定客として育てたいという意図もある。

TABETEへの出品は「仕入れた食材が余りそうな時」に限定して行うことができるため、テイクアウト商品を通常メニューとして常に準備しておかなくてはいけない負担も無い。消費者のフードロスに対する意識の高まりは、ともすると食材の廃棄率が高い飲食業界への逆風となるが、それを上手な集客へと結び付けるノウハウが、今後の飲食店経営には求められるようになる。

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