介護施設向け送迎支援システム「らくぴた送迎」
高齢者が日帰りで介護サービスを受ける通所介護施設(デイサービス)の数は、全国で約4万3千件。これらの施設では、利用者向けの送迎サービスを毎日行っているが、ドライバーは職員が担当するケースが多く、道が混雑している朝夕の時間帯に、複数の利用者宅を決められた時間に巡回することが難しいという悩みを抱えている。
ダイハツ工業が開発した「らくぴた送迎」は、その悩みを解消するために開発された、介護事業者向けの送迎支援システムである。送り迎えを行う高齢者のリストと車両情報を事前に登録しておくと、送迎前にシステムが最適なルートを自動で表示する。
デイサービスの出席者は、日によっての変動があり、送迎ルートは毎日変更しなくてはいけない。このシステムでは、出席リストのパターンによって、複数のルート設定の中から、最適な送迎ルートを自動選択できる。また、相性の悪い利用者同士の同乗を避けるためのアラトー機能も用意されている。
送迎中には、ドライバーが持つ専用のスマートフォンと施設側のPCが連携して、リアルタイムで車両の位置情報が把握されており、1つ前の地点を出発する時に、次の送迎先に自動電話で、車両が近づいていることの通知がされる。また、突然の欠席連絡があった場合には、施設側から車両に対してキャンセル通知を出すこともできる。そして送迎後は、スマートフォンに記録されたデータから、利用者、ドライバー毎の乗車時間や遅延回数、車両の稼働率などをグラフでチェックして、正確な送迎計画の作成に役立てることができる。
「らくぴた送迎」の利用体系は、PCライセンス料として1施設あたり3,000円/月と、専用スマートフォンのレンタル料が1端末あたり4,000/月、自動電話通知機能の利用料が1,000円/台となっている。送迎に使う車両には、特別なGPS装置などを取り付ける必要は無い。
海外では、宅配便や運送業者向けの配送ルート自動作成システムを開発する業者が登場しているが、日本では「介護業者向けの送迎サービス」というニッチな市場の中での、送迎支援システムが成り立っている。
■この記事に関連したJNEWS会員向けバックナンバー
・人材に依存する介護業界の採算構造と介護士資格のキャリアパス
・個人ドライバーの運送業立ち上げと小口配送の市場開拓
・高齢者の住み替えをサポートするシニアリロケーション事業
・脱マイカー社会で変わる消費者の購買行動と商圏法則
・多分野に広がるUber型ビジネスモデルの応用と付加価値サービス
・高齢者の“閉じこもり”を解消する旅行付き添いサービス
・タクシーを使わない高齢者と女性に向けた送迎サービス
※アクセスにはJNEWS会員ID、PASSWORDが必要です。
JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料による情報提供をメインの活動としています。 JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために2週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。