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多様化する家族の相続トラブルを解消する信託ビジネス

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JNEWS会員配信日 2021/9/6

 コロナウイルスは、人生が不確実なものであることを再認識させて、相続の準備をしておきたいというニーズが、富裕層を中心に増えている。日本では相続対策として「遺言書」を作成するのが一般的だが、遺言による財産分与には幾つかの問題点がある。

1つは、遺言書の内容が不十分なため、その解釈や遺産の分配方法で兄弟が揉めたり、仲違いをしてしまうケースが多いこと。もう1つの問題として、子供がまだ若いうちに高額の遺産を受け取ると、その後の人生を狂わせてしまうリスクが高いことが指摘されている。そこで米国では、「Living Trust(リビングトラスト)」と呼ばれる生前信託のスキームが活用されている。

リビングトラストは、資産を持つ親(被相続人)が、「trustee(トラスティ)」と呼ばれる資産の管理人(弁護士や銀行など)を指名して、生前のうちに保有する資産を移管して、自分が亡くなった後に、資産をどのように分配するのかを決めておく。子供がまだ若ければ、すべての資産を一度に与えるのではなく、20代、30代、40代のタイミングで分割して与えることで、金銭感覚を狂わせることなく、人生の各ステージで必要なお金を使えるようになる。

たとえば、親が亡くなった後、20代の子供がギャンブルで多額の借金を作って自己破産するようなケースで、通常の相続では、すべての遺産を没収されてしまうが、リビングトラストより、年齢に応じた遺産分配計画を立てておけば、30代、40代で受け取る予定の遺産は守ることができる。

《リビングトラストの仕組み》

賃貸アパートのような収益不動産を所有しているケースでは、未成年の子供に対して、成人するまでの生活費や学費を家賃収入で賄い、不動産自体はトラスティが管理するという方法もある。また、最近では家族の形態が多様化しているため、法的には相続人になれない内縁のパートナーに対して、資産を譲渡する方法としても、リビングトラストは活用されている。

米国では、遺言書による相続手続きには「プロベート」という裁判所の検認作業が必要になり、被相続人が亡くなってから、遺産分配が行われるまでに最短でも1年以上かかる。対して、リビングトラストは、認知症などで介護が必要になった段階から、すぐに遺産を活用することができる。

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