歴史的トレーディングカードのIPO型分割コレクション
非金融分野の投資対象として注目されるのは美術品だけではない。最近ではブロックチェーン技術による複雑な所有権の管理が可能になっているため、ファン層が多いコレクターグッズも、投資マネーの流入により相場が高騰してきている。
2020年末に米ニューヨークで創業した「Collectable」は、歴史的に価値のあるスポーツグッズを対象とした投資会社で、過去に活躍した有名選手のユニフォームや希少グッズなどを「IPO(新規公開株)」という形で、個人の投資家が分散所有できる仕組みを構築している。コレクションは改ざん不可能な封印がされた後、銀行金庫に保管され、分割オーナーは、必要に応じて自分の持ち分(株式)を、他の投資家に売却することもできる。
たとえば、1980年代に発行されたNBA選手のトレーディングカードは、近年のコレクター市場で高騰している。その中でもマイケル・ジョーダンのカードは当時でもゲットできる確率が、5万分の1以下と低かったため、現在のコレクター市場では1枚あたりが5000~1万ドルで取引されている。
Collectableでは、希少価値の高いマイケル・ジョーダンカードを50枚セットにしたコレクションを139,000ドル(約1500万円)の価値と算定して、2021年1月に「1株10ドル×13,900株」として、カードの所有権を375人の個人投資家に販売した。数ヶ月後には、他のコレクターから同コレクションを203,000ドルで一括購入するオファーが届いたため、この投資プロジェクトは約64,000ドルのキャピタルゲインを株主に分配する形で完了している。
米国コレクター市場の中でも、古いトレーディングカードの人気は過熱しており、オークション業者「PWCC」によると、1950~80年代にかけての野球、バスケットボール、ホッケーなどの希少カード上位2500位までのコレクションは、直近10年間の相場上昇率が300%を超しており、株式市場(S&P)の上昇率(175%)を上回っている。
トレーディングカード高騰の要因としては、もともとマーケット規模が小さな市場に投資マネーが流入してきていること。カードは紙幣のように軽量で保管がしやすいために流動性が高く、現在の投資家層(主に50代以降)にとって、昔のスポーツ選手に対する思い入れも強い。しかし、希少性の低いカードについては、ほとんど価値が無く、一部の希少カードのみに資産価値が認められている。そのため希少カードに集中した売買が活発になっている。
投資家にとって、コレクションの所有権を登記することができ、その権利を転売できる流動性があれば、「資産」としての価値が生まれることになり、幅広い趣味分野の希少アイテムが物色されるようになってきている。
■トレーディングカードの取引相場(PWCC Index)
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