ブロックチェーンでオープン化する有機農作物の認証マーケット

JNEWS会員配信日 2016/8/26

 社会的な信用力が求められるや証明書の発行は、主に公的機関が行ってきた業務であり、そこに権力(利権)が集中していたのも事実である。しかし、ブロックチェーンによる分散型の台帳システムが普及することで、公的機関に頼らなくても様々な証明業務ができるようになる。

農業生産者が無農薬の収穫物を出荷する際に、有機野菜(オーガニック)の表記をするには、オーガニック認証団体に加盟しなくてはいけない。日本では、農林水産省が管理する「有機JAS」が該当して、その認定を受けなくては、有機野菜、有機食品のように「有機○○」の表記をすることはできないルールになっている。

しかし、有機JASの認定を受けるには、申請手数料、審査料、実地検査の手数料と経費などで、小規模生産者の場合でも年間10万円以上の費用がかり、毎年の更新費用(年次監査料)も払い続けなくてはいけない。

有機認証にかかる経費は、販売価格に転嫁しなくてはならず、有機JASマーク付きの商品は割高になってしまう。そのため、安全な野菜を安く販売したいと考える農家は、敢えて有機JASの認証は受けずに、消費者との直接取引をしている。お互いの信頼関係が出来れば、認証マークが無くてもリピート注文をしてもらえる。ただし、無認証の有機野菜は、卸や小売業者を介した販売となると、安全性や品質の高さを示すことが難しい。

こうした問題を解決するため、新たな信用システムを開発しているのが、英国ロンドンで創業した「Provenance」という会社だ。このシステムは、農家が出荷する商品に、原産地や生産者の詳しい情報をデジタルで登録することができる。商品のパッケージには、スマートフォンでのアプリで認識できるシールまたはタグを貼り付けて、遠方の消費者でも安全性を確かめられるトレーサビリティをブロックチェーンで実現している。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です記事一覧 / JNEWSについて

■Provenance
  https://www.provenance.org/

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JNEWS LETTER 2016.8.26
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