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投資効果で考える
ブランドのリセールバリューとセカンドライン
written in 2013/3/29

 ビジネスセンスにも長けたアッパーミドルの消費者は、プライベートな買い物でも「商品の本質的な価値(品質や希少性)」や「自分に対する投資効果」を考える傾向があり、それが賢い買い物であることの理由を求めている。

たとえば、高額な腕時計が売れているのは、仕事でもオフの日でも、知的なアクセサリーとして身に付けて、自分の地位や文化レベルを示すことができるためだという。そして、イザという時に換金することが可能で、身近な資産として捉えることもできる。最近のブームから、様々な高級ブランドの時計が発売されており、どれを選ぶのかは迷うところ。

しかし、米フォーブスの記事では、「ロレックス」と「パテックフィリップ」以外は、「ほとんどが購入してすぐに価値を落とすことになる」と警鐘を鳴らしている。理由は、時計本来の品質よりも、外観のデザインや美しさをウリにして、もともとの定価が高めに設定されているためだ。

Invest In Wrist Watches For Looks Not Value(フォーブス)
(ルックスで腕時計に投資しないように)

高級品の価値は、発売時の価格ではなく、中古として転売される際の価格(リセール・バリュー)で考えるのが妥当であり、ブランドメーカーは中古市場の動向にも責任を持つ必要がある。

パテックフィリップの時計は、安いモデルでも200万円以上するが、ムーブメントの製造からすべて自社工場で行い、故障した時には永久的に修理できることを約束することで、信頼のブランド力を築き、高いリセール・バリューを維持している。

ロレックスも、“永久”ではないものの、現行モデルの生産中止から最低でも25年以上は修理用の部品を保有している。また、5年前後でオーバーホールのメンテナンスをする時には、外観に付いた小傷を研磨して、新品同様にするサポートがあるため、中古品の相場が下がりにくい。



ロレックスの時計は、並行輸入品やオークションでの中古売買も活発に行われているが、それが“本物”であれば、正規のサービスセンターで修理やメンテナンスをしてもらえる。もしも、中古で購入したロレックスが、本物かどうか心配な時には、サービスセンターのメンテナンスに出してみればよい。

そのため、最近のロレックス・ユーザーは、購入先を正規販売店だけに限定せず、ネットで多方面から探すという合理性も持っている。


時計に限らず、高級品には必ず、中古売買ができるリセールマーケットが成り立つはずであり、そこで高い評価を受けられないブランドは、次第に淘汰されていくことになるだろう。本物の高級品に対する需要は、急成長している中国など新興国の消費者が下支えとなるため、リセール価値は安定していく予測がされている。

 リーマンショック以降、ブランド業界に起きている変化として、高級品を好む消費者の中でも、できるだけ安く買える店を探すことや、セールの時にしか購入しない人達が増えていることがある。

そこでアパレル業界では、「セカンドライン」を設定するブランドが増えてきた。従来の商品ブランドを“ファーストライン”とするのなら、“セカンドライン”は姉妹ブランドとして、それよりも廉価版の商品を販売する戦略だ。

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この記事の核となる項目
 ●インフレ景気で恩恵を受けるアッパーミドル層
 ●購買意欲と堅実性を併せ持つアッパーミドルの特性
 ●リセール価値を意識した高級品の購入動向
 ●有名ブランドのセカンドラインは是か非か?
 ●希少性をウリにした限定販売モデル
 ●不況で鬱積したストレスを発散するハーレー購入者
 ●購買心理学からみたハイエンド消費者の分析
 ●エリートとリアリストに向けた階層別ブランド戦略の進め方
 ●ファストファッション・ブランドが躍進する欧州アパレル業界
 ●感動をウリにする第5次ビジネスの正体と消費者の欲求願望
 ●団塊オヤジはなぜハーレーダビッドソンに夢中になるのか?
 ●世界に共通したミドルクラスの消滅と日本特有のデフレ構造
 ●趣味と実益を兼ねたコレクションへの投資による資産の築き方


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JNEWS LETTER 2013.3.29
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