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  工作機械の分野の登場してきた「オープンハードウエア」の仕組みは、中小製造業者が高性能なマシンを安価で導入できることへと向かい、資金力よりも、アイデアや技術で勝負するスモールメーカーの成長を促すことになる。
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オープンハードウエアと会員制レンタル工場が変える
製造業の未来
written in 2012/11/12

CADでデザインした立体データを、そのままプラスチック素材などの造形作品として出力できる「3Dプリンター」もパーソナルな領域にまで普及してきている。数年前には1万ドル以上した3Dプリンターが、現在は1,000〜3,000ドル程度で購入できるようになってきた。

高性能な3Dプリンターが次々と安価で製品化されている背景には、オープンソースによるマシンの設計〜開発が行われていることがある。

オープンソースによって開発される工作機械は「オープンハードウエア」と呼ばれている。ネットによってパソコン業界が激変したのと同様に、製造業の分野でも工作機械の性能を、今よりも劇的に進化させていくことが可能になっている。

そうした新機能のアイデアは、個人から生まれることが多いが、従来は、特許を取得した上で、その図面を大手メーカーに買い取ってもらうような収益化の方法しか無く、その途中で頓挫してしまうアイデアが大半を占めていた。

そこで、現在、最も注目されているのが、オープンハードウエアによる製品開発〜収益化までのプロセスである。オープンソースで仲間と設計を進めて、誰でも設計図を使えようにすることで、さらに協力者を増やし、開発のスピードを高めていくことができる。

しかし、ソフトウエアとは違って、工作機械を完成させるには“製造”の過程で相応の資金が必要になる。そこで、クラウドファンディングで資金を集められる「Kickstarter(キックスターター)」などが活用されている。キックスターターでは、事業計画を公開して、賛同してくれる個人から、小口の資金を募ることができ、出資をしてくれた人に対して、完成した製品を優先的に提供するなどの特典を与える仕組みになっている。



しかし、オープンハードウエアによる開発は、そのアイデアや図面が世界中で共有されてしまうため、製品を独占的に量産して販売することには向いていない。そのため、完成品メーカーとは異なる「キットメーカー」となり、ユーザー自身が、図面に従って組み立てやすい、部品やキットを販売することによる収益モデルが考えられている。

“町工場”のような中小の製造業者にとっても、オープンハードウエアの工作機械が多種類にわたり開発されるようになれば、大手メーカーの高い機械を購入しなくとも、安価なキットを組み立てることで、最新鋭の設備を導入できるようになる。

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この記事の核となる項目
 ●CADを起点としたパーソナル製造業の時代
 ●個人が開発するオープンソース自動車の登場
 ●パーソナル工作マシンの実力と可能性
 ●オープンソースで開発される3Dプリンターの世界
 ●オリジナルグッズを製作販売するパーソナルメーカー
 ●パーソナルメーカーの製品開発〜収益化の流れ
 ●オープンハードウエアによる製造業の変革
 ●スモール製造業の拠点となる会員制レンタル工場
 ●米国で人気化するDIY職人としての副業モデルと集客ノウハウ
 ●消費者のDIY生活を支援する新たなエキスパート職の台頭
 ●ユーザー参加で需要を先読みするソーシャルプロダクト開発
 ● 設計図と模型を売ることでも成り立つモノ作り起業の方法


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