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オーディオブック業界にみる
独占的仕入れ権利の獲得競争
written in 2008/3/16

 通勤中の電車で携帯プレーヤーのヘッドフォンをしている人は珍しくないが、皆が流行の音楽を聴いているというわけではない。趣味の落語を聴いている人もいれば、ICレコーダーで録音した昨日の会議を聴き直している人もいる。近頃の携帯プレーヤーには何百時間分以上の音声データを収録することが可能だから、アイデア次第で様々な活用方法が考えられる。

そこで最近増えてきたのが「本を携帯プレイヤーで聴く」というスタイルだ。満員電車で活字を読むのは骨が折れが、朗読された本を聴くのなら苦労することもない。このような聴くスタイルの本は「オーディオブック」と呼ばれて、カセットテープの時代から存在していた。以前のオーディオブックは朗読が単調で感動が薄いものが多かったが、最近では有名な声優や俳優が登場人物の配役で朗読を担当するようになって、活字の本とはまた違った魅力的な世界を生み出している。

現在のところ、世界のオーディオブック市場は約1000億円で、日本国内はその1割という小さな市場のために「本当に普及するのか?」という声もある。しかしやり方次第では、オーディオブックの儲けは非常に大きくて紙書籍の比ではない。利益率が高いのは、やはり電子化された商品であるために、原盤となるデータを一度作ってしまえば、商品の量産・在庫管理・配送にかかるコストを限りなくゼロに近づけることができることは容易にわかるだろう。

オーディオブック市場には、書籍出版社、オンライン書店、着メロ配信会社、テレビ・ラジオ局、レコード会社など、各分野の企業が種をまきはじめている。アップルのミュージックストアでは新カテゴリーとしてオーディオブックのオンライン販売をしているし、アマゾンコムでも米オーディオブック制作会社を買収する形で参入してきている。これまで「本は薄利で儲からない」という話は事あるたびに指摘されてきたが、既に大勢の読書家を顧客として獲得しているアマゾンがオーディオブックの版権者となって売るとなれば話は変わってくる。有形の商材を扱ってきた従来のeコマースサイトにとって、電子商材を扱うことは薄利体質を改善する画期的な転換点になる。

これはオーディオブックの例に限らず、eコマースサイトでは販売対象とする顧客対象は同じでも、取り扱う商材を電子化することによって収益性を飛躍的に改善することができる。しかも電子商材の売り方や料金体系は様々で、月額会費制や使用期限付きのレンタル制など柔軟に生み出すことが可能で、そこが“モノとして扱うこと”が前提の有形商材には真似のできない魅力である。日本国内でもモノを扱うオンライン販売が疲弊してきているが、その打開策として「電子商材を扱うこと」が新たな活路として考えられる。では具体的に電子商材にはどんな種類があって、どんな仕入れルートになっているのだろうか?その業界構造をみていくことにしよう。
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この記事の核となる項目
 ●電子商材(商品の電子化)とは何なのか?
 ●電子商材によるeコマースの完成形
 ●電子商材の販売はどのくらい儲かるのか?
 ●粗悪品が出回りやすい電子商材の特徴と欠点
 ●リセールライト付き電子商材の流通例
 ●オーディオブックにみる電子商材の流通ビジネス
 ●アグリゲーターよる電子商材の仲介例(音楽業界)
 ●オーディブル社のビジネスモデルについて
 ●権利の獲得と管理が急所になる電子商材ビジネス
 ●eコマースに適した電子商材の種類と特徴
 ●フォトストック事業の採算と仕入先開拓の図式
 ●年収3百万の会社員でも億万長者になる指南本が書ける理由
 ●ゼロからの起業でも参戦しやすいレンタルコミック事業
 ●モノを売ることから転換する脱物質化ビジネスモデルの胎動


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