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知財ビジネスの側面をもつ 観光みやげ業界の流通構造と買収戦略 |
written in 2006/8/28
行楽に出かければ必ずといってよいほど買い求めるのが、ご当地のおみやげ品だろう。有名な観光地には定番として親しまれている銘菓が存在しているものだが、菓子業者は観光土産のヒット商品を一つ当てると、何十年という長い期間にわたって安定した売上を築くことができる。これは流行り廃りの激しいITビジネスにはない魅力だ。何代にもわたって続いている老舗菓子店というのは、そんな有名ブランド化した銘菓を守ることによって長年の安定経営を維持しているのだ。
“観光みやげ”といえば、一般消費者はその地域の業者が製造していると信じているが、現代では必ずしもそうとは限らない。各観光地のみやげ菓子を専門に製造受託する大手の菓子業者も存在しているし、ブランド価値の高い有名な菓子になると、本家の製造元が企業買収の対象になることもある。有名な銘菓の商品価値は、決してその味だけではなくて、菓子の名称(商標)やパッケージの形状、包装紙のデザインなども含まれた“知的財産”とみられている。
そのため老舗菓子店の店主が急逝して後継者がいないような場合には、そこの銘菓に関する一切の権利を資本力のある会社が買い取って、製造と販売を引き継ぐという商取引も行われている。菓子本来の味や質については、いまでは製造工場の機械化が進んでいることもあって各業者の優劣は付けにくい水準にあるものの、商品の知名度によって売上の状況は極端なほど差がついてしまう。観光みやげ品の業界は地味な存在ではあるが、その中の急所を掴むことによって旅行者には気付かれないところで魅力的な知財ビジネスを展開している。
(知的財産ビジネス事例集一覧へ)
●旅行者が知らない観光みやげ品の流通構造
●営業権の買収による菓子製造業者の拡大路線
●見直される"職人の仕事"と後継者育成〜事業継承に絡む商機
●後継者不在で廃業する繁盛店の営業権を仲介するサービス
●身近なM&Aで"自分の事業"を所有する独立起業のスタイル
●田舎和菓子店がオンラインで繁盛する理由から学ぶこと
JNEWS LETTER 2006.8.28
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