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クリエイターの著作物を担保にした
知財投資ビジネスの光と陰
written in 2004/12/10

 ビジネスをしていく上で資金は“血液”の役割を果たす。そのため資金が豊富な資金が円滑に循環していないと、思い描いた事業を立ち上げて成功まで導くことは難しい。そのための資金調達の方法としては、不動産を担保に借り入れを起こすか、投資家から出資を募る方法が一般的である。

しかしこれは会社の信用力や、資産価値の高い不動産があっての話であり、何の担保も持たない人や会社に対して資金が融通されることはまずない。銀行へ融資の相談に行けば「担保になるものはお持ちですか?」と質問されることだろう。

しかしそんな場合に「私の知的財産を担保に1億円お願いします」という交渉が成り立つ時代が到来しつつある。これからの時代には、あまり値上がりが期待できない不動産よりも、将来的に大化けしそうな知的財産のほうが評価されることは以前から各方面で指摘されているが、このほど改正信託業法が成立して、不動産や金銭などの有形資産に加えて音楽や映画、マンガ、脚本、小説、ソフトウエアといった知的財産を信託することができるようになった。

これは独自の創作活動を手掛ける優秀なクリエイター達にとっては、自分の著作物に対する資産価値が飛躍的に向上することを示唆している。わかりやすく言えば、百万円の土地が1億円に跳ね上がったバブル期のような出来事が、知的財産の分野にも起こる可能性があるということだ。

そこでバブル期に良い思いをした経験を持つ投資家達は、有望な才能を持つクリエイター達を早速“投資対象”として触手を伸ばし始めている。クリエイター側にとっては銀行から投資家から豊富な資金を集めて、それを新たな創作活動へと投入することで、これまでも規模の大きな活動ができるようになる反面、マネーゲームの渦の中に巻き込まれてしまう懸念も潜んでいる。時代の潮流としては、知的財産を投資対象として新たなビジネスが多数立ち上がっていく方向にあるが、その光と陰を追いかけてみたい。
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この記事の核となる項目
 ●創作物を証券化して切り売りする知的財産ビジネス
 ●映画コンテンツを資産として運用するビジネスモデル
 ●有名人達の間で流行る名声債券の仕組みと問題点
 ●銀行や証券会社が参入する娯楽資産の証券化ビジネス
 ●特許権を証券化して次の開発資金を調達する大学ベンチャー
 ●知的財産を証券化するビジネスの陰の部分について
 ●保護期限切れの知的資産を再利用したコンテンツビジネス
 ●知的財産立国に向けて浮上する特許技術の移転仲介ビジネス


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JNEWS LETTER 2004.12.10
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