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進化するコピー技術が生み出す新商品と 失われる熟練工の仕事 |
written in 2004/04/22
アナログ情報をデジタル化する技術が普及したことにより、複雑なデータでも簡単にコピーできるようなった。これはさまざまな分野において作業の効率化を実現させているが、その一方で、違法コピーの大量流失や“偽コピー商品”が世の中に氾濫するという問題も深刻化している。
10年前の“コピー”といえば、コピー機で紙を1枚ずつ複写する程度のものに過ぎなかったが、現代ではDVDディスクに収められた数百万人分の顧客情報をわずか数分でコピーして大量に複製することが家庭用のパソコンでも簡単にできる。さらに、写真や絵画、音楽など文化芸術の範囲にまで、データのデジタル化〜コピー技術の進化は及んできているが、これがプロアーティスト達の職を奪いはじめている。
デジタルカメラの普及によってプロカメラマンの仕事は激減してしまったし、音楽業界でも
DTMやMIDI技術の進化によってデジタル機材のみで音楽を制作することが可能になって、楽器演奏を生業としてきたスタジオミュージシャンの多くが失業の危機に立たされている。デジタル技術が成長していくことは、作業の効率化やコストダウンへとつながり、我々の生活を快適にしていくことは間違いないが、その裏側では、これまで“腕の良い職人”として大切にされてきた熟練工の仕事を脅かしている。
優れた知識や情報、ノウハウを電子的に模倣、複製することによって、これから新しい商品やサービスを生み出せる商機はたくさんあるが、その使い方を間違えれば、その業界全体を消滅させるほどのリスクもはらんでいる。将来の模倣(コピー)技術はどこまで進むのか、その動向を追いかけてみたい。
(知的財産ビジネス事例集一覧へ)
●データコピー技術で成り立つパーソナライズド・ギフト市場
●写真を自在にプリントできるフォトクッキー
●音声を贈り物にするボイス・ギフトカード
●体のサイズを立体スキャンするアパレル業界
●足と健康の関係が誘発させるオーダ靴への需要と新ビジネス
●コピー技術からヒューマンモデリング技術への進化
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JNEWS LETTER 2004.4.22
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