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保護期限切れの知的資産を再利用した コンテンツビジネス |
written in 2004/02/01
マイケル・ジャクソンが現在の富を築くまでに至った収益基盤となっているのは、自身のヒット曲による収入だけでなく、ビートルズの楽曲を中心とした版権投資によって得られる著作権収入だという話を2003/11/22号で紹介したが、現代において莫大な収入を得ている人達の多くは、著作権料や特許料などの“知的所有権”によって稼いでいる点で共通している。優れた知的権利を獲得(所有)すれば、その権利を活用した商品を独占的に販売したり、他社に使用権を許諾することによって多額のライセンス収入を得ることができる。
著作権や特許は法律によって権利が守られているため、他人(他社)が権利の所有者に無断で使用することができない。競合が乱立してすぐに類似の商品やサービスが出回ってしまう現代において、知的所有権の獲得は企業が生き残るための重要な鍵になっている。日本を代表する大手のメーカー企業になれば、一年間に出願する特許件数は数千件の規模に及んでいて、その中の何件かが“金のなる技術”へと育てば、その知的権利から得られる収入によって、将来の好業績が約束されるのだ。
しかし世界的に認められたような優れた知的権利でも、永遠に収入を稼いでくれるわけではない。日本では特許権が保護されるのは最大で20年(実用新案は最大6年)、著作権は作者の死後50年(団体名義の著作物は公表後50年)と期間が限定されている。一般人からすれば、これだけの保護期間があれば十分だと考えたくなるが、知的権利によって独占的な商品を販売している企業にしてみれば、歳月が過ぎて“権利切れ”になることで売上が激減すれば会社の存亡にも関わるため、新たな知的権利の開発や獲得に奔走している。
その一方で、保護期間が経過して権利が消滅した技術や文芸作品を活用した新たなビジネスも登場しはじめている。20世紀前半に生み出された価値の高いの技術や著作物の多数が、21世紀を迎えて権利切れになることから、そこに向けたビジネスの動きが慌ただしい。
(知的財産ビジネス事例集一覧へ)
●製薬業界にみる特許ビジネスの仕組み
●特許切れ医薬品が消費者に与える恩恵とは
●著作権切れの作品を活用した小説の電子出版ビジネス
●著作権切れ音楽と廉価版CDの関係
●デジタル時代に向けた著作権切れ作品の活用と問題点
●音楽業界の大富豪を生み出す版権投資ビジネスのカラクリ
●工賃で稼げない時代の中小製造業者が目指すべき特許ビジネス
JNEWS LETTER 2004.2.1
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