脱サラして事業を興す場合の税金対策
自分で事業を興す場合、個人を選択するか法人を選択するかといえば法人を作ったほうが税務上有利なことは多い。しかしサラリーマン時代に高給を得ている人の場合には、脱サラ後すぐに法人登記するよりもタイミングを見計らったほうが、税金面で得をする場合がある。
例えば8月に会社を辞め、すぐに事業を開始しその事業がまだ軌道に乗らず赤字である場合のことを考えてみよう。もし、事業を最初から法人化しておくとサラリ−マン時代の給与所得と法人の赤字所得は、所得税と法人税という全く別の税法で扱われることになる。そのためサラリ−マン時代の所得税は、基本的に返ってこない。このため事業は赤字なのにサラリ−マン時代の所得税は取られっぱなしというアンバランスが生じてくる。
それに対して、個人事業のままスタ−トした場合は、給与所得の黒字と事業所得の赤字が合算されるので、上記のようなアンバランスの解消が図れる。説例で示してみよう。
サラリーマン給与所得 ----->800万円(源泉税約90万円)
事業所得 ----->マイナス1000万円
<法人にした場合>
サラリーマン時代の給与にかかる所得税 90万円
法人にかかる法人税 0円
その結果、所得税の還付は受けられれない。
※年末調整分は考えないものとする。
<個人事業にした場合>
サラリーマン時代の給与(800万円)と独立後の事業所得(−1000万円)にかかる所得税の関係は
(800万円−1000万円)<0 となり所得税額は0円
その結果サラリーマン時代の源泉税約90万円が全額還付されることになる。
このように考えると、立ち上げ当初は開業資金がかかり、また売上もあまり上がらないことが想定される場合には、個人事業でスタ−トさせて初年度の損益を通算させて2、3年目に法人成りする方法も節税対策として頭に入れておくべきだろう。