所得の申告は青と白、どちらが得か
起業家にとって所得の申告はとても興味深いテーマだ。税の知識を深めることが節税にもつながり、また資金調達のための銀行との交渉にも役立つことが多い。今回は個人事業者の申告(サラリーマンのサイドビジネスも含む)の場合、白色申告と青色申告のどちらが有利かについてレポートしよう。
青色申告の趣旨は、「事業の収入や、経費の内訳をきちんと整理して申告してくださいね。しかしきちんと整理するのは、なかなか面倒でしょうから、それをやってくれれば、見返りに税金を安くして上げましょう」というものだ。
上記の「整理する」ということは
1.現金出納帳をつける。
2.領収書等を整理して保存する。
3.貸借対照表を確定申告書につける。
4.損益計算書を確定申告書につける。
5.収入金額の明細書(売上帳)をつける。
「見返り」とは
- 事業所得から10万円または35万円の控除が認められる。
つまり青色申告をしない場合の所得税は
{給与所得+(事業収入−事業経費)}×税率 だが、
青色申告をすれば
給与所得+(事業収入−事業経費−10万円または35万円)}×税率
ということになる。10万と35万の違いは「事業の収入や、経費の内訳の整理」をどれぐらいきちんとやっているかということで変わってくる。
- 次に損失の繰越控除が認められる。
<白色申告の場合>
例えば、1年目の給与所得が400万で事業所得が500万の赤字2年目の給与所得が450万で事業所得が100万 の黒字だったとする。
青色申告していなければ(税率を10パ−セントだとして)
1年目の税金(400万−450万)<0 なので0円。
2年目の税金(450万+100万)×10%=55万円。
になる。
<青色申告していれば>
1年目の税金(400万−450万)=△50万円
2年目の税金(450万+100万−50万)×10%=50万円
ということになる。
つまり1年目のマイナスを翌年に繰り越すことができるのだ。
他にも青色申告の利点はいくつかあるが以上の2つが大きい。
青と白のどちらがよいのかということを考える場合、書類の整理は白でもやらなければならないわけだし、(税務申告のためだけではなく)事業が大きくなったときのことも考えると、青色申告にした方がよいという結論になる。銀行との融資交渉も青のほうが断然有利だ。
ただ、税務署の調査を受ける可能性を考えると青色の方が高いという現実もある。しかし、どちらをを選択するにしてもやたらと儲からない限りは、調査の対象にはならないようだ。