銀行口座からリスク投資に向かう富裕層マネーの動向
過去の金融危機は、株式市場の暴落を引き金としてきたのに対して、米シリコンバレー銀行(SVB)の破綻以降は、「銀行預金の引き出し」という形の金融危機が起きている点で、タチが悪い。株式は暴落幅が大きくなると、底値からのリバウンドを狙う買い手が現れて回復軌道に乗りやすいが、銀行預金は一度流出すると信用不安が長引き、元には戻りにくい特性があるためだ。
しかし、利上げ→国債の下落→銀行の経営悪化というシナリオは、米政府も事前の予測が付くため、顧客の預金は全額保護した上で、財務体質の弱い銀行は統廃合するという、金融業界再編の青写真が描かれていたのかもしれない。それでも、破綻する銀行がどこまで増えるのかは未知数だ。
大口預金者の中では、預金保険で保証される金額の上限(25万ドル)を超す預金を引き出す動きが加速している他、同じ銀行に全資産を預けていた一般世帯でも、複数の金融機関に分散することが、SNS上では推奨されるようになっている。
調査会社のモーニング・コンサルトが行ったアンケート調査によると、シリコンバレー銀行(SVB)の破綻後に、預金を移動したと回答した人の割合は、米国成人の16%となっており、世代別にはミレニアル世代が58%と最も多かった。預金の移動先として最も多いのは、国が管理するナショナルバンク(36%)だが、それ以外では、コミュニティ銀行、地方銀行、デジタル銀行というように細分化しており、株式市場や暗号資産に移動させている割合も高い。
■The Silicon Valley Bank Collapse Drove Some U.S. Adults to Diversify
同調査によると、これまで米国人の51%は1つの銀行口座しか保有していなかったが、SVB破綻後は資金を分散させることが預金移動の目的となっており、必ずしも超安全志向へと傾倒しているわけではない。
米国では、1口座あたり25万ドルまでの預金は公的保証を受けられるため、その範囲内で年率4%超の預金金利を提示する地方銀行に資金を分散移動させることも、新たな投資手法となっているが、高金利預金を提示する銀行ほど、信用力は低いという実態もある。そのため、富裕層の大口銀行預金は、株式や暗号通貨などのリスク資産にも向かい始めている。
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■JNEWS会員レポートの主な項目
・シリコンバレー銀行破綻の道筋
・富裕層から起きる銀行預金の取り付け騒動
・大口銀行預金が向かう資金の逃避先
・SVB破綻後に安全資産として買われる暗号通貨
・銀行預金の5割占める無保険預金の実態
・クレディ・スイスの破綻が意味するもの
・プライベートバンクの衰退と投資ロボアプリの台頭
・海外で注目されるハイイールド預金口座の高利回り貯蓄
・ハイイールド預金の仕組みと投資ロボの収益モデル
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2023.4.3
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