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バーンレートを意識したスタートアップの生存可能期間

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JNEWS会員配信日 2022/8/11

 資金面からみたスタートアップ企業の健全性については、バーンレート(BurnRate)とランウェイ(Runway)という2つの指標によって測られることが多い。

バーンレートは、会社が毎月燃焼するキャッシュの量を示したもので、オフィスの家賃、人件費、商品の仕入れ原価など、すべての経費が含まれる。一方で、毎月の収入(売上)もあるため、「月間の総コスト-月間売上」がバーンレートの計算式になる。たとえば、毎月500万円のコストを費やしている会社の月間売上が400万円あれば、バーンレートは100万円になる。

次にランウェイは、会社が保有している運転資金の合計額をバーンレートで割ったものになり、現在の資金繰りで会社が何ヶ月滑走(存続)できるのかを示している。保有資金が1000万円で、バーンレートが100万円ならば、ランウェイは10ヶ月。つまり、会社が事業を継続できるのは10ヶ月間ということだ。

《会社存続期間の計算式》
○ バーンレート = 月間の総コスト - 売上高
 (例)月間コスト 500万円 - 月間売上 400万円 = 100万円
 
○ ランウェイ = 保有資金 / バーンレート
 (例)保有資金 1000万円 / 100万円 = 10ヶ月間

バーンレートを改善するには、レイオフによる人件費の削減、他の設備、店舗、工場などにかかる経費の見直しが具体策になる。ただし、経費を削減すれば売上も落ち込むのが普通であるため、経営が悪化しない段階からバーンレートとランウェイを意識する必要がある。

米国では、スタートアップの適正なランウェイとして、12~18ヶ月分の資金を確保しておくことが重要と言われている。しかし、投資家向け情報サービスの CBInsightsがベンチャーキャピタルの出資動向を調査したところでは、シードからシリーズA、B、C、D、Eと成長していくスタートアップに対する出資は、それよりも長いスパン(平均18~22ヶ月)で行われていることが判明した。12ヶ月で次の出資が受けられると想定していたところ、実際には18ヶ月かかるのであれば、会社の資金繰りはショートしてしまう。以下は、コロナ前に調査されたベンチャーキャピタルの出資サイクルである。

《米ベンチャーキャピタルの出資サイクル》

米国のスタートアップは、創業期(シード)に家族、友人、メンターなどから数十万ドル(数千万円)の資金を調達した後、製品やサービスの具体的な開発計画を立てていく。新製品がマーケットから受け入れられる感触が掴めると、数百万ドル(数億円)規模の資金調達をしてチームを作り、ビジネスを開始していく(シリーズA)。

ビジネスが軌道に乗り始めると、スタッフの増員やマーケティングの拡大をして、市場シェアの拡大を狙っていく(シリーズB)。市場での地位が確立すると、ベンチャーキャピタルからの資金も集めやすくなるため、IPOに向けての企業価値(バリエーション)を高めていく(シリーズC)。小規模なスタートアップのIPOは、シリーズCで資金調達を完了するが、さらにシリーズD→Eと進めて、IPO前のバリエーションを高めていくケースもある。

スタートアップの資金調達は一度行うと、人件費の増加などでバーンレートが上昇するため、ステージ別に追加の資金調達をしていかないと、成長軌道の途中でも突然死してしまう。コロナ禍以降は資金調達の計画も大きく狂ってしまった。

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