JNEWSについてトップページ
株式の希薄化を防ぐスタートアップ創業者の資金調達

JNEWS
JNEWS会員配信日 2021/8/21

 脱サラをして新規開業する起業者に必要な開業資金は、平均で約1000万円といわれ、それを自己資金と借り入れで賄っている。業種や業態によっては、500万円未満で開業することも可能だが、開業後の運転資金も数ヶ月分は用意しておく必要があるし、事業が軌道に乗り始めた段階では、商品仕入や人件費などにかかる資金は増えていくため、創業者にとって「資金繰りの悩み」は避けては通ることができない道である。

《起業者の開業費用》

《開業時の資金調達額(内訳)》

2020年度新規開業実態調査(日本政策金融公庫)

しかし、創業時に無担保で借りられる融資の選択肢は少ないのが実態だ。創業者に最も優しい日本政策金融公庫の「新創業融資制度」では、3000万円までの融資枠を設定できるが、実際には300万円前後が創業融資の平均額となっており、設備投資が必要な業種でも1000万円までが実質的な上限値と考えたほうが良い。また、地方銀行や信用金庫などの民間金融機関が、実績の乏しい創業したての会社に対して、独自の融資を行うケースも少ない。

日本政策金融公庫の「新創業融資制度」

そこで、ネット系のスタートアップ企業は、銀行融資ではなく、投資家からの出資を受けられる道を模索することになる。創業時には、両親や親戚、友人などに出資してもらい、事業の成長ステージに合わせて、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルなど新たな出資先を探していくのが正攻法だが、これにも問題がある。

「出資を受けること」は、会社の所有権(株式)を切り売りしていくことを意味するため、資金調達を重ねていくほど創業者の持ち株比率が低くなり、重要な意志決定で株主に口を出されたり、社長を解任されてしまうリスクがある。一度下がってしまった持ち株比率を元に戻すには、発行済み株式を高値で買い戻さなくてはいけないため不可能に近い。

《持ち株比率のシミュレーション例》

銀行融資による資金調達、株式による資金調達、その両方にデメリットはあることから、海外では新たな資金調達の方法として、レベニューシェア(収益分配)型のローン開発が旬のテーマになっている。これは、決められた金利で資金を融資するのではなく、将来見込まれる売上の一部を、貸し手が受け取る契約によって融資するもので、創業者は自分の持ち株比率を下げずに、事業の成長に必要な資金を調達することができる。

これまで、スタートアップ企業への投資事業は、一部のエンジェル投資家やベンチャーキャピタル(VC)の独壇場となっていたが、コロナ禍を転機としてスモールビジネスの起業は世界的に増えており、彼らを支援する、VCとは別の仕組みが求められている。スモールビジネスの中には、急成長が見込める事業も含まれていることから、株主とは異なる形で、彼らに投資をするスキームが注目されている。

この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます記事一覧 / JNEWSについて

JNEWS会員レポートの主な項目
・収益分配型ローンの仕組みと手数料体系
・創業者の持ち株を希薄化させない資金調達
・収益分配ローンで変わる小売業界の動向
・急成長するD2Cショップの資金調達モデル
・ベンチャーキャピタルと異なるスタートアップ融資
・コロナ禍で変化するベンチャー投資環境
・方法別にみたスタートアップ資金調達の長短
・貸付型ベンチャー投資の成功モデル
・ローン利用による夕食宅配サービスのバイアウト事例
・コロナモラトリアムからの出口戦略とデジタル投資
・従量課金で収益化するPay-per-Useビジネスモデル
・プライベートブランドを柱とした小売業界の再編トレンド

この記事の完全レポート
JNEWS LETTER 2021.8.21
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
※JNEWS会員のPASSWORD確認はこちらへ


(起業家の成功法則)/(トップページ)/(JNEWSについて)/(Facebookページ)

これは正式会員向けJNEWS LETTER(2021年8月)に掲載された記事の一部です。 JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料による情報提供をメインの活動としています。 JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために2週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。

JNEWS LETTER 2週間無料体験購読

配信先メールアドレス

※Gmail、Yahooメール、スマホアドレスの登録も可
無料体験の登録でJNEWS LETTER正式版のサンプルが届きます。
 
Page top icon