サイバーフィジカル社会を先取りした投資と働き方改革
我々の生活は、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)が提供するようなネットサービスによって飛躍的に便利になったが、その反対側では消滅したアナログの仕事も多い。今後はテクノロジーの進化により、成長していく産業と、衰退していく産業のギャップはさらに広がっていくことが予測されている。
これからの10年は、AIとロボットが労働者の仕事を次々と自動化していくことになる。これらのイノベーションは「サイバーフィジカルシステム(CPS)」と呼ばれ、労働者の勘や経験に頼ってきたような作業は、IoTセンサーよって収集されたデータをサイバー空間で分析しながら、現場のハイテク機器が自動で行っていくようになる。
世界的なコンサルティング会社のプライスウォーターハウスクーパース(PwC)が未来の労働市場を予測したレポート「Workforce of the future」では、2030年には、長期的に安定した雇用条件の下で働ける人はほとんど居なくなり、米国労働者の中でフルタイム社員(正社員)の割合は9%にまで減少するという予測を立てている。
■Workforce of the future(PwC)
テクノロジーの進化は、人間の成長よりも速いため、単調な作業を繰り返す労働者の価値(労働単価)は下がる一方で、優れたアイデアを考えられる者には高い報酬が支払われる。高校生が開発したアプリが数千万ドルで買収されるような出来事も、これからの社会では珍しくなくなる。
仕事はプロジェクト単位で動くようになるため、優秀な人材は「雇用」ではなく「契約」で複数の組織を頻繁に移動するようになり、独自の技術や著作権などの知的財産を保有することが、高収入を得るための鍵になる。
【未来を築くテクノロジーへの投資手法】
いま先進国の経済成長は、GDPでみると年率0.5~2%で推移している。単純に言えば、既存の産業に投資をしても1%前後のリターンしか得られないことになるが、未来の働き方を変えるテクノロジー分野については、年率10%超の成長が期待できる。
具体的なモノサシとして、金融市場指数プロバイダーのS&Pグローバルでは「S&PKenshoニューエコノミーインデックス」という新経済指数を2018年から提供している。これは、AIによる金融分析を行う、Kensho Technologies(ケンショー・テクノロジーズ)という会社を、S&Pが5億5000万ドル(約570億円)で買収することで実現させたものだ。
Kensho社は、独自のアルゴリズムにより数百万ページに及ぶ上場企業の財務情報、規制当局に提出された資料などをAIが自動分析することで、将来有望なテクノロジー企業を選出して、ニューエコノミー指数を算定している。指数は、第4次産業革命を推進する企業を包括的にまとめた総合指数の他に、ロボット、人工知能、電気自動車、ドローン、ウエアラブルデバイスなど、テクノロジーのテーマ別に有望企業を選定したセクター指数(30分野)も作成されている。
■S&P Kensho New Economy Indices
これらの新経済指標は、指数連動型ETFとして米国株式市場に上場されている他、銀行や証券会社が販売するファンド(投資信託)のベンチマークとしても活用されている。Kenshoのようなインデックス会社は、ファンドを運用する金融機関に対してインデックスに含まれる銘柄の詳細データを提供することと、商標を二次使用することのライセンス料を収入源にしている。
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■JNEWS会員レポートの主な項目
・未来を築くテクノロジーへの投資手法
・インデックス型投資信託の仕組み
・脱中国化で再編されるドローン業界の動向
・規制緩和で実現するドローン社会
・貨物ドローンの開発動向とビジネスモデル
・オープン化する自動操縦システムの開発方法
・2030年までにロボットに奪われる職業の特徴
・未来の働き方で必要となる10のスキル
・新ビジネスリーダーに求められる人間力とは
・パンデミック後の国際ビジネスを変革するWHF経済
・エンジン車全廃に向けたEVモータリゼーションの参入視点
・5G時代に進化するリモートエキスパートの専門スキル
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2021.1.16
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