サラリーマンが起業に失敗する理由には、5つの共通した特徴パターンがある。それはサラリーマン時代とは異なる起業家としての行動力や考え方の違いが関係している(JNEWSについてトップページ
サラリーマンが起業に失敗する5つの特徴パターン

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 巷でよく言われるのは、独立起業者の生存確率は10年間で1割程度に過ぎず、残りの9割は起業に失敗するという話。そもそも「失敗」の定義をどこに置くのかによっても、この説の真偽は変わってくるが、起業をして会社の倒産や自己破産に陥るまでの失敗者は少ない。

その反面、独立時に思い描いたように事業が成長せずに、サラリーマン時代よりも年収を落としてジリ貧の生活をしているケースというのは、水面下でかなり多い。その点では9割の失敗率という説も、あながち嘘ではない。

筆者(JNEWS編集長)は20年間以上の活動で、数多くの起業者を取材してきたが、起業に成功する人・失敗する人には幾つかの共通した特徴があるように思う。それは事業テーマの選定とは関係無く、起業家としての資質のようなもので、その人の性格、考え方、行動力などによるものが大きい。では、どんな人が起業の失敗パターンに陥りやすいのか、という特徴を5つに分けて紹介してみたい。

【会社員時代の人脈に頼ろうとする】

 ビジネスをする上で、人脈を重視することは間違いではないが、元勤務先との人間関係に頼ろうとする人は失敗確率が高い。これは大企業に勤めていた人に多い傾向でもある。サラリーマン時代の上司や同僚から、仕事を発注してもらおうとする考えは、実際には上手くいかない。起業したての1~2年は、ご祝儀として仕事を貰えることもあるが、企業は数年サイクルで人事異動があるため、昔の人間関係がそのまま続くことは無い。

そもそも、起業して去っていた元社員の成功を本気で応援してくれる同僚や上司が、どれだけいるのかも疑問だ。そうした点から、起業後の人脈は、ゼロから作り直すという考え方をしたほうが、失敗確率は低くなる。

もちろん、起業後もサラリーマン時代の仲間と上手くやっているケースもあるが、それは起業家や経営者として、元勤務先の会社と対等な立場で付き合うことが前提になっている。退職後も定期的な交流をする中で、元勤務先にビジネスチャンス(顧客紹介など)を与えたり、専門性の高いスキルを磨いて、外部人材としてサポートできるようなケースだ。

【起業までの準備作業が脆弱】

 起業を決めて脱サラするまでにも、起業の準備段階としてやれることはたくさんある。それを自発的に見付けて行動することも、起業家の適性といえる。たとえば、独立後に参入したい業界で働く人達と出会い、現場の裏話を色々と聞いてみることは、有意義な市場調査になる。また、起業テーマに関連したブログやSNSのアカウントを開設して情報発信を行い、フォロアーを数千人、数万人の規模に増やすことは、独立開業後の集客力としてダイレクトに役立つ。

こうした「起業前の準備活動」では、収入は未だ発生していないため、勤務先の副業禁止規定に抵触することは無い。要領の良い人は、サラリーマン時代から、起業の準備活動→副業としての収入が伸びてきた後に、会社を辞めている。働き方改革法の施行後は、副業を容認する企業も増えていることから、サラリーマンを続けながらも、行える起業準備の作業はたくさんある。

そうした準備を怠りながら、「いつかは起業したい」と言い続ける人は、実際に起業する確率が低い。

【楽観的すぎる資金計画】

 起業の失敗とは、事業が存続できなくなった状態のことを指すが、これは手持ちの資金が枯渇することが主要因になっている。個人の起業では、「事業に必要な資金」と「生活に必要な資金」の両方を確保しておくことが必要になる。ありがちなのは、サラリーマン時代に蓄えた貯金の大半を、起業後の1~2年で使い果たしてしまい、生活が困窮していくというパターンだ。

こうした人達は、起業後すぐに事業が軌道に乗ることを前提に資金計画を立てている。事業の内容(店舗の有無や設備投資、社員の雇用)によっても、必要な資金額は変わってくるが、大きな事業計画を立てるほど、失敗までのタイムリミットは短くなる。起業家の中では、スモールビジネスで堅実な安定収入を積み重ねていくタイプと、リスクを取って、一か八かの大事業にチャレンジするタイプに分かれる。これは、どちらが良い・悪いということではなく、起業者の性格に拠るところが大きい。

良くないのは、世間で報じられる派手な起業の成功事例に影響を受けて、自分の性格や条件に合わない事業計画を立ててしまうことである。

【自分のビジネスモデルに対する意識】

 サラリーマン時代のように毎月安定した給料を得られない起業者は、常に自分のビジネスモデルや収益構造を意識して、時代の変化に応じた軌道修正をしていく必要がある。最近では、ネット上で様々な収益プラットフォームがあるため、それに乗れば「個人事業者」としてのビジネスを手軽に立ち上げられる。

たとえば、YouTuberとして広告収入を稼ぐこと、アマゾンのマーケットプレイスで物販をする、アフィリエイトサイトを立ち上げて提携収入を稼ぐなど、手軽に参加できるプラットフォームは沢山ある。

しかし、これらの収益プラットフォームは、会員規約の変更、報酬レートの改定、ユーザとのトラブルによるアカウント凍結などにより、収入がある日突然無くなってしまうリスクも併せ持っている。プラットフォーム上の一時的な高額収入を過信するのではなく、自分のビジネスモデルを臨機応変に築いていける者が、プラットフォーマーと起業家との違いになっている。

【孤独と不安に対するストレス耐性】

 起業者は、自分が理想とする事業やワークスタイルを自由に決められるのが利点だが、その裏側では孤独や不安を常に抱えている。思うように売上が伸びない、という状況の中では更に不安は大きくなり、固定給が貰えたサラリーマン時代が恋しくなったりするものだ。

そこで、どうせ仕事も暇だからという理由で、1日単位で働けるアルバイトに応募したり、人材派遣会社に登録をするというケースはよくある。それを一次的な収入と割り切れれば良いが、出勤すれば確実に貰える時給や日当に甘んじて、自分の事業への熱意が冷めてしまう人は、起業家として向いていない。

また、起業した後に知り合った会社の社長から、「ウチに来て一緒にやらないか(社員にならないか)」と誘われるケースもある。そうした時にも、起業家としての本質が試されている。

常に自分で考えて行動しなくてはいけない起業家にとって、最も厄介なのは、心の中に蓄積される孤独や不安とどのように対峙して、それを乗り越えていくのかという部分だ。それが常に苦しいようなら、サラリーマンに戻ったほうが楽になれる。逆に、そうした孤独感のストレスを楽しめる人は、サラリーマンよりも起業家に適した性格といえて、苦労や挫折はあっても、やがて事業を軌道に乗せられる確率が高い。

こうした性格の持ち主は、起業者全体の1割程度とみるのが妥当で、冒頭で触れた「起業の成功率1割」の法則と重なる部分がある。

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