投資家から出資を受けた米スタートアップ企業の中で、 IPOやM&A(事業売却)に成功するのは全体の3割で、残りの7割は追加の出資が受けられずに、倒産または廃業同然の状態に陥っている。それらの事例には共通した失敗の法則がある(JNEWSについてトップページ
過去事例から学ぶスタートアップ失敗の要因と共通法則

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JNEWS会員配信日 2019/7/1

 日本ではこれまでに、大きく3度のネットバブルが起きている。第1次は1998~2000年にかけて、インターネット企業が株式上場するまでのプロセスが初めて構築された時期である。第2次は「Web2.0」のキーワードを足掛かりにIT企業への出資が加速した2005~2006年頃だが、ライブドア事件を発端にバブルは崩壊した。そして、第3次といえるのが、シェアリングエコノミーやAI・IoTなどのテクノロジーをテーマにしたスタートアップ企業が増えている2016年頃から現在にかけてのことである。

現在のスタートアップ市場が、バブルがあるか否かは、何年か先にわかることだが、投資が加熱している状況は統計からも読み取れる。ジャパンベンチャーリサーチの調査によると、国内スタートアップ企業(未上場)の資金調達額は、2013年頃までは年間800億円前後で推移していたが、その後の資金流入は加速して、2018年には3,848億円にまで拡大している。

《国内スタートアップ資金調達額(未上場)》

これらの資金は、好調な株式市場から還流される形で、次のリターンを期待して出資されているもので、相場が軟調になれば、継続的に得られるとは限らない。
その間に事業を軌道に乗せられないスタートアップは、やがて運転資金が枯渇することになる。

ベンチャー投資が活発な米国でも、投資家からの出資を受けたスタートアップ企業の生存率は決して高くない。投資家向けの情報提供を行う「CB Insights」が、2008~2010年にかけて、シード段階の資金を調達して創業したスタートアップ企業1,100社を調査したところでは、IPO(株式上場)またはM&A(事業売却)に成功したのは全体の3割に過ぎず、残り7割の企業は、追加の資金調達ができずに、倒産または廃業同然の状態に陥っている。しかも、生存企業の中で、Uber、Airbnb、Slackなどのようなユニーコーン企業(未上場の段階で評価額10億ドル以上)にまで育つ確率は1%に過ぎない。

《米国スタートアップ企業の生存状況(2008~2010年に創業)》

スタートアップが失敗するのは、運転資金の枯渇に加えて、需要の読み違い(想定よりも実際の顧客が少なかった)、チームの崩壊や仲間割れ、競合との価格競争、消費者が満足する製品を作れなかった、法律による規制強化、ビジネスモデルの欠陥など、様々な要因が潜んでいる。

日本では、米国で流行っているビジネスを手本にするケースが多く、特にシェアリングエコノミー系のプラットフォームビジネスや、サブスクリプション型のビジネス、IoTのテクノロジーを活用した製品開発にチャレンジするスタートアップが増えている。

ただし、これらのカテゴリーは参入者も多いため、失敗確率が高いのも現実である。失敗ビジネスには幾つもの共通点があり、それを理解することで、同じ轍を踏まない事前の対策や、回避策を講じることは可能である。

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JNEWS会員レポートの主な項目
・米国スタートップ企業の生存状況
・サブスクリプション型レンタルの失敗要因
・自動車の共有社会は到来するのか?
・解約率でみるサブスクリプション事業の成否
・サブスクリプション事業の下降トレンド解説
・サブスクリプション事業のカテゴリー別解約率
・ハードウエア系起業家の失敗確率と失敗事例
・収益化にシビアなシェアリング利用客の特性
・シェアリングビジネスモデルの欠陥について
・投資家と起業家で異なる事業成功と失敗の定義
・休眠預金も投入される社会インパクト投資の仕組み
・投資家と起業家の利回りとスモールビジネスの資産価値
・廃業者と起業者を繋げる事業承継モデルとM&A仲介

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