地方移住の足掛かりとする「地域おこし協力隊」の活用
地方移住をして起業を目指す者にとっては、国が実施している「地域おこし協力隊」を足掛かりにする方法もある。この制度は、大都市圏から地方への移住希望者を対象に、各自治体が「地域おこし協力隊」としての仕事を発注して、年間400万円まで(うち報酬分は200~250万円)の活動費を支払うものである。この資金は、総務省から自治体に支給される交付金で賄われている。
地域おこし協力隊の仕事は、自治体によっても異なるが、「ニッポン移住・交流ナビ」のサイト上で募集案件が告知されている。
たとえば、富山県立山町では「移住定住コンシェルジュ」を募集しており、立山町の特産品や移住に関する情報をインターネットで発信したり、サテライトオフィスを設けたい企業との橋渡しをすることが、主な業務になる。報酬は月額20万円で、その他に、立川町内の住居、軽自動車とガソリン代、消耗品・印刷製本費・通信費なども支給される。契約は1年単位だが、最長3年まで更新することが可能だ。
また、北海道上川郡上川町ではラーメン店の開業支援を、地域おこし協力隊員の形態で行っている。上川町は「ラーメン日本一の町」として多くの観光客が訪れていたが、現在では店主の高齢化により、かつては15軒あった店も今では5軒にまで減少している。そこで、上川ラーメンを継承してくれる移住者を、地域おこし協力隊のプログラムとして募集している。
地域おこし協力隊としての採用者には、1年から最長3年の予定で、町内のラーメン店開業までの実習や、ラーメンを通した観光イベントの開催、商店街活性化などの活動などを行ってもらう。その間の報酬は、上川町から月額20万円の給与と活動経費が支払われる他、住居は2019年4月開業予定のシェアハウスに入居することができる。さらに、地域おこし協力隊としての活動が終わった後も、上川町でラーメン店を開業する意志があれば、起業サポートは継続される仕組みになっている。
地域おこし協力隊の取り組みについては、自治体によっても温度差があり、すべてが上手く機能しているわけではないが、平成29年度には997の自治体が協力隊員の受け入れをして、トータルでは4,830人が参加している。参加者の内訳は、20~30代が7割以上を占めており、隊員としての活動期間が終了した後も、6割がその土地での定住を決めている。
日本政府は、東京圏の人口集中を是正して、地方での起業・就業を促す取り組む施策「わくわく地方生活実現政策パッケージ」を年間1000億円の予算を投じて進めている。地域おこし協力隊の拡充も、その中の一つとして行われているものである。
《わくわく地方生活実現政策パッケージの項目》
- UIJターンによる起業・就業者創出(6年間で6万人)
- 女性・高齢者等の活躍による新規就業者の掘り起こし(6年間で24万人)
- 地方における外国人材の活用
- 地域おこし協力隊の拡充(6年後に8千人)
- 子供の農山漁村体験の充実
- 企業版ふるさと納税の活用促進
- 国民の関心を惹きつける効果的・戦略的な情報発信
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