金融市場を席巻するアクティブ投資家の実態と成功確率
JNEWS会員配信日 2018/3/7
日本人は投資に対して保守的な国民性であることは、昔も今も変わっていない。
日本銀行が発表している統計によると、2017年の時点でも、一般世帯が保有する株式や投資信託などリスク資産の割合は全体の18%で、金融資産の50%以上は現預金で保有されている。
それでも、個人投資家が金融市場で大きな影響力を示しているのは、一部の“投機家”によるものだ。国内に約1,000万人いる個人投資家の中で、年間に100回以上の株式売買をする「アクティブ投資家」は5%以下とみられているが、すべての株式売買高で、彼らの取引が5割以上を占めている。証券会社によっては、口座数に対して1%未満のデイトレーダー(月間取引が100回以上)が、75%の株式売買をしている。
現在のオンライン証券会社は、口座数ベースでは幅広い顧客層を獲得しているように見えるが、収益面では取引頻度が高い一部の顧客層に依存した構造になっている。
そのため、現在の株式市場はアクティブ投資家の影響で乱高下しやすく、彼らがブログやSNSに投稿する発言が、個人投資家全体の行動のように錯覚されてしまう。
投資の成功率に関しては、公表されているデータは少ないが、ウォールストリートジャーナルが2012年に発表した記事によれば、外国為替や株価指数の取引業者「FXCM」の米国口座では、70%の顧客が損失を抱えていることを明らかにしている。損失率が高い理由は、50倍もの高いレバレッジ取引ができることにある。1万ドルの資金で50万ドルのトレードをするようなやり方は、少しの値動きで資金が吹き飛んでしまう。
プロのトレーダーであるヘッジファンドも「設立から3年で1/3のファドが破綻する」ことは定説になっている。破綻の要因は、投資家から年率8%以上の高い収益性を期待されて、高いレバレッジをかけすぎることにある。2005年のレポートになるが、日本銀行でもヘッジファンドを巡る動向については、詳しく分析している。世界の金融資産に対して、ヘッジファンドの運用資産額は1%未満に過ぎないが、彼らのトレードは金融業界に大きな影響を与えている。
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