働きアリの法則から学ぶ「働き者」の習性とモチベーション
JNEWS会員配信日 2016/10/8
アリは、集団で食料の調達を行う社会性昆虫として知られているが、群れの中で熱心に働くのは2割に過ぎず、残り8割のアリは全力を尽くしていない。その中でも、普通に働きながら手を抜くアリと、常にサボっている怠け者のアリに分かれて、トータルでは「働きアリ(2割)/普通に働きながら手を抜くアリ(6割)/怠け者アリ(2割)」という内訳になる。
これは「働きアリの法則(2:6:2の法則)」と呼ばれるもので、人間の行動習性と似ていることは、昔から著名な経済学者達が指摘している。会社では上位2割の有能な社員が、売上の8割を稼ぐという特性は「パレートの法則」として有名だ。
いつの時代でも、経営者はすべての社員のやる気を最大限に引き出そうと注力するが、人間は決められた報酬(月給)の中では、それを獲得する労力は最小限で済むように自ら調整する習性がある。(最小努力の法則)
そのため、社内の新陳代謝が行われない組織では、それほど上がる見込みのない給料を、最小限の労力で貰おうとする社員ばかりが増えるようになる。この状況を打開するには、上位の有能な社員が会社から“卒業”していくシステムを作ることが有効だ。
働きアリの法則によれば、上位2割の働き者が定着している間は、残り8割のアリは労力をセーブしているが、集団の中から働き者が去ると、怠けていたアリの中から働き者が現れるようになり、新たに2:6:2の集団になることが実験からも明らかになっている。
この法則に基づくと、社内のモチベーション(やる気)を高める方法として、全社員の給料を一律上げたとしても、その効果は一時的なものでしかない。高成績の社員ほど高い給料を与える実力主義の報酬制度は、一部の有能な社員の“やる気”を引き出すことはできるが、逆に「熱意のある社員」と「努力を諦めてしまう社員」の乖離を大きくしてしまうリスクがある。
また、実力給といっても「雇用している社員」という枠の中では、給与の支給額には限度があり、経営者と同じような夢を追いかけられるわけではない。そのため、有能な人材ほど、現職に留まろうとする意識は薄く、独立起業を考えるようになる。企業にとって、勝手に独立されてしまうのは痛手になるし、ライバルとして敵対する懸念もある。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます → 記事一覧 / JNEWSについて)
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