JNEWS会員配信日 2016/6/2
日本でも中小製造業の衰退は深刻な問題だが、アーバン・マニュファクチャーのモデルを、再生の足がかりにすることはできる。地方都市には、空き家となった工場が多数あるため、それらをスモールメーカー向けの施設に改装して、起業者を誘致することは、官と民間の双方で手掛けられるビジネスになる。
ブランド総合研究所が毎年行っている「地域ブランド調査」によると、消費者が魅力を感じている地域は、上位ランキングのほとんど地方都市となっており、製造業にとっても、メイドイン・シティ(都市名)による製品のブランド化をする上でのヒントになる。
《魅力度上位100市区町村ランキング》
・1位………函館市(北海道)
・2位………札幌市(北海道)
・3位………京都市(京都府)
・4位………横浜市(神奈川県)
・5位………小樽市(北海道)
・6位………神戸市(兵庫県)
・7位………富良野市(北海道)
・8位………鎌倉市(北海道)
・9位………金沢市(石川県)
・10位………軽井沢町(長野県)
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※出所:地域ブランド調査2015
後継者不在などで廃業した空き工場の活用については、各自治体も有効策を考えており、新たに製造業を始めたい人に物件を紹介する「空き工場バンク」が各地で立ち上がっている。
たとえば、長崎県波佐見町は、400年の伝統がある陶磁器の街で、同じく陶器で有名な伊万里市とも隣接しており、町内人口の4割が窯業関係の仕事に関わっている。しかし、高齢化による廃業者の増加で、使われなくなった作業場も増えたことから、もの作りにチャレンジしたい起業者に向けて、月1万円台からの安価な家賃で物件を紹介する「空き工房バンク」を立ち上げている。
陶芸で自分の工房を立ち上げたい起業者の他にも、木工・ガラス工芸・革製品・染め物などのハンドメイド作家にとっても、窯業の歴史がある波佐見町は、作品に独特のブランドイメージを加えられる魅力がある。オンラインで販路が築けるようになった現代では、自治体の支援を受けられる地方に移住をする形での起業も選択肢の一つになる。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です→記事一覧)
■JNEWS会員レポートの主な項目
●メイドイン・ニューヨークに学ぶ都市型製造業
●メイドイン・サンフランシスコ製品のブランド戦略
●ローカル都市の製造業再生プロジェクト
●日本の製造業を復活させるための視点
●デジタル製造業に対応した遊休工場の再生ビジネス
●シェアリング経済を先導するツールライブラリーの仕組み
●ウォーカブルシティへの都市再生と街をスコア化するビジネス
●コモディティビジネスから抜け出すカスタマイズ製造業の潮流
●製造業の枠組みを変革するメイカーズムーブメントの本質
●メイド・イン・USAをブランド化する米国製造業の再生モデル
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2016.6.2
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