JNEWS会員配信日 2015/7/30
定価を決めた価格設定(静的価格)に対して、需要と供給のバランスや、時間経過によって価格を動的に変化させて、消費者の購買意欲を刺激する販売手法は「ダイナミックプライス戦略」と呼ばれている。
航空業界では、1980年から導入されてきたものだが、インターネットが普及してからは、他の分野でもダイナミックプライス(動的価格)による取引が活発になっている。
わかりやすいのは、オークションやマーケットプレイスに出品する商品は、人気の動向、類似商品の出品数などを見ながら、売り手は価格を変動させていかないと、上手に売りさばくことができないことだ。
また、アマゾンが販売している膨大な商品在庫も、他のeコマースサイトや量販店の価格相場、商品のレビュー内容などにより、価格の設定を刻々と変化させている。それを手動でやっていたのでは、とても追いつかないことから、各商品の価格を自動で修正していくシステムが組まれている。
基本的に、「アマゾンは他店よりも安く」を価格設定のポリシーにしているが、採算度外視で値引きをするのではなく、商品の組み合わせ方よって利益が出るような価格戦略が組まれている。
小売価格のリアルタイムデータを分析する「Boomerang Commerce(ブーメランコマース)」が行った調査によると、アマゾンは2014年末のクリスマス商戦で、当時の売れ筋であったサムスン製のテレビを、他店との競争により350ドルから250ドルに値下げした。しかしその一方で、テレビ購入者が、同時に注文する確率が高い「HDMIケーブル」については、33%の値上げをしていることが判明した。
消費者は、最も興味関心の高い商品については“最安値”のショップを熱心に探す傾向が強いが、付属的な商品の価格については、それほどシビアにはならず、同じショップで購入しているケースが多い。
これは、商売人のノウハウとしてアナログ的には知られていることだが、膨大な商品在庫を扱うeコマースの世界では、緻密なデータ分析により、商材毎の購買特性を自動で突き止めていく必要がある。
ブーメランコマース社は、小売業者の価格設定を専門としたデータ分析会社で、競合他社が取り扱う商品の価格設定をリアルタイムでモニタリングして、他社よりも好条件の価格に最適化することを可能にする、オンラインプラットフォームを提供している。(この内容はJNEW会S員レポートの一部です)
■JNEWS会員レポートの主な項目
●リアルタイムビジネス化する不動産業界
●航空券のリアルタイム相場を動かすフライト検索サービス
●eコマース業界のダイナミックプライス戦略
●スポーツビジネスの新たな価格戦略
●Uberが考案したサージ・ブライシングへの是非
●静的価格から変動相場ビジネスモデルへのシフト
●眠れるデータを発掘して収益化するビジネスモデルと着眼点
●売れ残りチケットを収益化するビッグデータ分析と入札システム
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2015.7.30
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